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期待は裏切られたがむしろ大歓迎な裏切られかただった「ハスラーズ」見た

Hustlers(2019年製作の映画)
鑑賞:2021.1.3 記事公開:2021.5.15
監督・脚本:ローリーン・スカファリア

賑やかな感じなのでお正月にはいいかと思って鑑賞。


ストリッパーたちが嫌な金持ちを罠にはめてザマーミロみたいなエンタメ系かと思ってたけど全然違った。

映画はかなり良かった。
ある事件をインタビュー形式で回顧的に語るテイの作品だけど、とにかくストリッパーたちが魅力的だった。
本当にそういう人たちがそこに居るように見えた。演技もすごいしそれを可能にした演出も凄い。
最近は社会的なテーマに一方的な価値観をレッテル張りするのではなく、極力状況を描写するだけにするアプローチがみんな上手で驚く。
(この作品もストリッパーたちを嫌いになることはないので、完璧に客観というわけではないけど)
最後のインタビューを受けているデスティニーがいい家に住んでてラモーナが事務机で地味な服をきているのを説明しないところも、色々と想像させられてしまうし泣けてくる。そういう見せ方があちこちにされているんだろうと思う。
とにかく登場人物が皆生き生きとしていて良い映画だった。
ローリーン・スカファリア監督の他の作品も見て見たい。

企画意図
原作は「ニューヨーク・マガジン」に掲載されたストリッパーによる事件の記事。
いけ好かない金持ちからセクシーな女性が大金を巻き上げたという、下世話ゆえ注目キーワードの塊のような事件でどう作ってもそれなりに注目されそうな題材。ただし「ニューヨーク・マガジン」ということもありインテリジェンスや文化的な匂いも醸し出し下品なイメージも高くない。これだけ見ると鉄板そう。製作陣にはコメディ俳優のウィル・フェレル、コメディ畑から社会派へ華麗に転身中のアダム・マッケイ監督の名前が見える。役者から監督もやるようになった監督作としては3作目のローリーン・スカファリアさんもコメディよりの人みたい。
アプローチは元記事に倣ってインタビュー表現を中心に回顧録的アプローチ。見せたっかったのはリアルなストリッパーたちの姿。そこに監督の女性目線で浮かび上がる女性たち。

見どころ
役者や画面、音楽、展開などなどどれもレベルが高い。
作品として、他を圧倒する部分はやはりリアルなストリッパーの舞台裏と、エスカレートしてゆくスリリングな犯罪サスペンス。何より、記者も監督も女性である故か、通り一遍のストリッパー像ではなく、母であり娘であり貧困者であり、事情を抱えつつ楽しく辛く見えを張り贅沢を楽しみ笑い嘘をつき生きている女性たちが魅力的なところだと思う。
犯罪の良し悪し、成功者か否かに焦点が合ってないのも、事件よりはそこにいる女性をフォーカスしたいからだとおもう。

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