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どちらかと言えば、普通の人よりジェイソン寄り 「Mr.ノーバディ」見た

Nobody(2021年製作の映画)鑑賞:2021/11/30、記事公開:2022/1/23監督:イルヤ・ナイシュラー、脚本:デレック・コルスタッド

予告編が面白そうだったけど劇場は間に合わず。

※※※ ネタバレありマス ※※※

普通のおじさんがキレて暴れる話かと思ったけど違った。

「これならもうジョン・ウィックがあるし」というのは残念な部分。

よかったところは3つ。

一つは映画が殺人を肯定しているところ。ジョン・ウィックのように殺すのも仕方なしという言い訳すらない。

二つ目は、一つ目の詳細になるが、殺人を楽しんでいる人物が4人いること。

主人公は明らかに暴力を求めているし、主人公の他に殺人欲求を抑えられない登場人物が3人(うち1人は実父、うち1人は妻、もう1人は本当にただの野次馬が)いる。

主人公の行動に明らかな過剰殺戮衝動が見られる。まず警察に通報するべきシーンがいくつもある。バスのシーン然り、自宅への襲撃シーン然り。

銃を手に取るモノは銃で打たれる可能性を受け入れているはずである。金庫を襲撃するシーン。催眠ガスや催涙弾など、死人の出ない穏やかな方法は幾つか考えられる。それは自分の安全を考慮した方法でもある。お手製の炸裂爆弾を作るよりは手間がかからない。しかし、主人公はあえて死者が出る方法を選択している。妻を覗く2人についていえば、メリットもないのにわざわざ殺人が起こる見込みのある場所まで自分の意思で出向いている。主人公を含めたこの3人は暴力を司法と警察に委ねず自身の殺人衝動を優先し、自分の命よりも殺人による快楽を求めていることになる。

三つ目は妻の異常性。健常者には怯え狼狽えて当然のシュチュエーションを希求している。

そこはラストシーン、人間の骨が残らない800℃の高温で焼いた家の代わりの物件を探している時にわかる。主人公は不動産屋で電話を受けた時に、新しい家に地下室があるかを不動産屋に確認する。妻はそれを受け入れている、というよりも明らかに楽しみにしている様子が見て取れる。

映画を見ればわかるが、これは自分および自分の子供2人が住んでいる家をアサルトライフルで武装したギャング十数人が襲撃する可能性を示唆している。その可能性を楽しみにするということは、十数名のギャングが旦那に皆殺しにされるのを求めているとも受けとれる。もちろん、一家4人がギャングに殺戮される可能性もあるが、妻はその可能性を期待しているわけでは無いだろう。

実際であれば、母親としてまずは警察に相談しそんな旦那とはあらゆる手段を講じて距離をとるべきである。子供の命が危険に晒されているのだから。彼女は自分および子供2人の命(旦那は成人しているので、本人の希望を否定するのは人権侵害である)を優先するべきである。しかし、彼女はそれらを考慮すらしない。大量殺戮の予感を待ち望んでいる。

個人的な見所はこんなところ。

人間とジェイソンなら、どちらかと言えばジェイソン寄りの人々目線で描かれているのが面白い。

殺人のバリエーションは豊富でよかった。殺害した遺体を並べた前でウイスキーを味わうシーンも異常性が際立っていて良い。

他には娘が可愛行くてよかった。猫のブレスレットは無事返してもらったろうか。


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