少女の神性 【オリジナルイラスト】
少女の神性
幼少から当たり前に感じられた神秘は、少女が外の世界との関わりを密接にするたびその美しさを欠いてゆく。
空を見上げた時の安心感は釈然としない孤独感に変わり、
道端に咲く花を見つけた時の高揚感はいつしか充足感の不足を色濃くしていった。
夜空に輝く星々を、まるで自分の為に用意された舞台装置か魔法陣のようだと思えていたあの頃、怖いモノなど何もなかった。
🌱
社会を知るたび怖くなり、人を知るたび嫌悪した。
世界を知るたび絶望し、この世に希望はないのだと悟った気になり塞ぎ込んで
関わるモノが増えるたび孤独を感じ、優しくされればされるほど信じられなくなった。
明けない夜の真ん中にいるような日々の中、夜明けを夢見て歯を食いしばった。
少女はもう、少女とは呼べないほど年齢を重ねていた。
🦋
あの頃のように瑞々しさを保てない肌と、あの頃のように無茶のきかない身体で、それでも少女は今日も生きる事を選び続けている。少女は大人になっていた。
これまで大切にしまい込んでいた恐怖や絶望を書き換えようと思い立ったのはいつだったか。
仄暗いグレースケールの世界を鮮やかな色彩で塗り替えようとしたのはいつだったか。
癒されたいと願う日々の中、誰かの癒しとなれるよう強く願うようになったのはいつだったか。
💟
与えられたモノを他者にも与えられる人間になれるよう
そしていつか、与えられなかったモノも与えられる自分になれるよう
願う事、行動する事を一致させ始めたのはいつだった?
🐋👼🐬
自分だけの神聖なる泉に身体を浸す事は、自分だけの神性を保つ事と同義である。
私を癒し、誰かを癒し、癒された誰かがまた他の何かを癒し
過去を癒し、現在を癒し、未来へ繋ぐ
少女に与えられた「神性」とはなんだったか?
それは「諦める」事だった。
🌏🧙♀️
諦める、あきらめる、あきらかにみえる、明らかに見える。
己の神性を知る事は、己の気質を知る事
己の気質を知る事は、痛みを知る事
己の痛みを知る事は、己の弱みを知る事
己の弱みを知る事は、己の強みを知る事
己の強みを知る事は、己の使命を知る事
己の使命を知る事は、己の神性を知る事
この世はAでありBである。
痛みは癒しであり、弱みは強みである。
一は全であり、全は一であるように
過去のすべてが今この瞬間に繋がっていて、今この瞬間は未来を作り出す。
そして少女は高らかに時を知らせる声をあげるのだった。
「夜明けはとっくに来ていたじゃない!」…と。
🥚🐣🐥🐓
In the middle of the dawnless night.
A 16-year-old girl who dreamed of dawn.
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