好きな人にだけ会いたい

無駄な駆け引きをやめたい。好きかもしれない人/かつて好きだった人に、会いに行って、「やっぱり今は好きじゃなかったな」と確認する作業を本当はやめたい。もしかしたら、今会ったら当時よりも好きかもしれない、という淡い期待は全て捨ててよ。

過去の好意を超えることはできない。昔好きだった人に会うことで当時のドキドキやワクワクは再現できない。「わたし、あの時本当はちょっと好きだったよ。」は訪れない。過去形の好意は、現在形ではただの思い出話にしかなれない。全ての映画がシーズン2が初代を超えられないように、あなたへの好きは、愛していたあの時の方がよっぽど楽しかった。

思い出だけで、互いが過ごした時間を埋める事はできない。これからの自分の行く道を伝え合う。未来形の私の道中には、あなたの姿はない。お互いの道は交わらない。私のこれからには、あなたは登場しない。旧友に会い、互いを共有するときの困難さはここだ。

互いに元気でやっているよ、という指針表明はしたい。昔楽しくやった仲間に会いたい。もうあなたの人生に僕は登場できない寂しさと共に、あなたの顔がみたい。今晩こうやって、あの時の好意について確認しあえた。すごく愛おしくて、これからの励みになれた。わざわざ会えて、良かった。

あわよくば会わずして、「あいついま何してるかな」「昔あいつのこと好きだったなぁ」でいれば良かった。けれど、あなたの口から、あなたの今やりたくて好きで向かいたい道について聞けた。今、あなたのことは好きでは無いけれど。あなたが他の人のことを好きでいる、ということを知れて良かった。

本当は、今好きな人だけに会いたい。本当は、今やりたい事だけをやりたい。

あなたを好きだったあの日の僕は、今の僕に比べて、楽しそうに生きているかい？

あなたのこれからの道中に私がいないことが本当は寂しい。つらいときたのしいときに、近くで面白がれる距離感を僕たちは互いに選べなかった。それでもかつての好意を、あなたのことが好きだった昔の私自身に免じて、幸せを心から願いたい。

しばらくはあなたのことは忘れてあげる、僕のことを思い出さなくて良い。それでも、今は、あなたの幸せを本当に信じたい、今は。