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ブックレビュー『ゆびさきと恋々(れんれん)森下suu、講談社デザートコミックス』

まず、絵がかわいいです。
シンプルな画面なのに、さりげなくかわいい雰囲気に整っていて、目が心地良いです。「かわいいでしょーーーー!?」みたいなカンジではない可愛いさです。砂糖菓子タイプ、とでもいいましょうか。優しいかわいさです。

それと、モノローグの言葉が、すごく素敵。
素直な感情がとても端的に表現されていて、惹き込まれるし、共感させてくれるもんだから、自分が恋してる気持ちになって「キュン」となります。

聴覚障害の女の子が主人公なので「障がい者モノ」とカテゴライズされるでしょうし、もちろん間違いなく聴覚障害がテーマの一つではあるのですが、絶妙に「恋愛きゅんきゅんモノ」の要素と溶け合っているというか、障がい者が苦しむようなタイプの話ではないので、説教臭さも無いですし、とても良い意味で「フツーに読める」カンジ……とでも言いましょうか、「障がい者モノです!」とは、わざわざ謳いたくないカンジです。

手話表現が随所に出てくるのですが、おそらく実際の使用者にすごくしっかりとした取材をしているというか、協力者のかたの感受性が豊かなのか、ハッとさせられることが。
作中で「時々 弱々しく力の入らないゆびさきが、本当は 心配してくれてるんじゃないかって思ったりもして」とか、あるいは、想いを寄せる相手の指が長いことに気付いた直後のシーンで「力強くて なにもかも 包み込んでくれるような手話をする」なんてモノローグが入ったりして、なるほど手話にもそういう「ニュアンス」があるのかと、ますますキュンとなったりします。

今後きっと、アニメ化やドラマ化などの映像化がされていくとは思いますが、「漫画」という表現ならではの雰囲気が間違いなく存在してる作品なので、今のうちからの購読を、強く!全力で!!お勧め致します。

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