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自分で考えること

EKIDEN NEWS 西本さんによる、横田コーチのインタビューPart 4です。中学野球部時代の経験から生まれたチーム哲学、個人競技をやっていきた横田コーチがなぜその哲学にこだわるか、その理由が書かれたのが今回のnoteです。

自分で考える癖は野球部のときからありました。野球はそんなにうまくなかったけれど、どうやったらレギュラーになれるかは考えられる子だったんです。野球やサッカーってエースで4番以外はうまいやつがレギュラーになるんじゃないんですよ。エース以外は監督がやりたい野球やサッカーを体現できるやつがレギュラーになるんです。例えば5本のうち1本ホームラン打つよりも、5本のうち4回送りバンドを成功させるやつを好きな監督もいるんです。やりたい野球というのは監督からのサインを見ていればわかります。「この監督はランナーが出たら送りバントだな。脚が速いやつはセイフティーバントであわよくば塁に出ることを求める」とかね。そういうタイプの監督は絶対、守備も大事にするんです。バッティングがいいやつよりは、脚が速くて、守備がよくて、バントができるやつを選ぶんです。野球は確率のスポーツですからね。

次に大事なのは、信用の話です。例えば、怪我をしたときに、何をするか。ぼくはクロスプレーで骨折したとき、その夜、一晩勉強して野球のスコアブックをつけられるようにしたのです。男子校はスコアブックがつけられるマネージャーなんていませんから。スコアブックをつけられることは戦力として貢献できるだけでなく、怪我をしてても監督のそばにいてずっとコミニュケーションを取り続けることができる。監督の考えも理解できるし、信用度もあがればレギュラーになるのは、さほど難しいことじゃない。でも、ぼくにはそれがつまんなく感じたのです。それって、ご機嫌とってるだけじゃないですか。チームとして求められることは足を活かして外野の守備範囲を広げること、そしてバントができること。でも、ぼくもホームランを打ちたいし、ピッチャーもやってみたいじゃないですか。それがつまんなかったんです。

チームの中でどう役割を演じるのか?このことを中学の野球部で学んだことが、ぼくのベースになっています。ぼくが大きな陸上界をとらえたときに、自分がどう振る舞えばいいのか、どうポジショニングをしたらいいのかということは、他の選手よりもよく見えているはずです。野球やサッカーをしていた陸上選手は他にもいるでしょうが、そこが大きな違いです。だから陸上という個人競技をやってはいますが、チームという概念は嫌いじゃないんです。慶応競走部の中距離ブロックを教えてますが、学生スポーツだとしたら、チームのために何ができるか?しか考えさせません。他の駅伝ばかりをやってきてた選手よりも、個人競技をやってきたぼくがチームという概念やその哲学にこだわる理由はそこにあります。


(文章:EKIDEN News 西本武司)

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以前の投稿はこちら

Part 1コーチになるまでと嫁置き去り事件
https://note.com/twolaps/n/n9eec1262e0d3
Part 2 理想のコーチ像
https://note.com/twolaps/n/nc3753221e358
Part 3 陸上の魅力はオープンソースであること
https://note.com/twolaps/n/n098a5f4d5a34

 


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