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失敗の先にあるもの

パリ五輪の1500Mで決勝を走りたいんです


館澤が東海大の学生だったとき、卒業後はTWOLAPSでやりたいと、館澤から連絡をもらいました。なんでかよくわからないので、とりあえず話を聞くことにしました。TWOLAPSに入る時にどの選手も必ずやるのが目標の明確化作業です。これはいろんなところで伝えているので割愛しますが、意外にも「良い目標」をたてられている選手って少ないんです。だいたいはじめて話をすると、すごく曖昧なこと言うので、やり直しになります。館澤は、「パリ五輪の1500Mで決勝を走りたいんです」と明確に僕に伝えてきました。面白い選手だなと思ってその場で一緒にやろうという話になりました。その話の中で、海外拠点の話もしていて、海外のチームで切磋琢磨して強くなりたいというビジョンを語ってくれたことも鮮明に覚えています。

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失敗で固めた決意


TWOLAPSにきた当初は、練習前に僕のところにきて、指示があるか確認しにきたりとか、体重が増えちゃったりとか、意外に自分の意思で動けない選手なんだと思いました。一方で、決めたらやり抜く力は強かったり、いろいろ頑固なところもあったりと不思議な選手だなと思っていつもコーチングをしています。笑 TWOLAPSにきていままでとは違うスタイルに戸惑いもあったと思います。復活もしたけど失敗もしました。彼の中ではその失敗が大きかったのでしょう。このままではだめだと思い、単独海外武者修行を改めて決意したのだと思います。今日、館澤は約一ヶ月半のオーストラリア遠征へ旅立ちました。現地のチームでトレーニングを積みながら、レースにも出場する予定です。

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最適なサポートってなんだろう


TWOLAPSは基本的に選手が決めたことは応援するスタイルを貫いていますが、その決めたことで得られる成果を最大化させることが最も大事だと思っています。ここで重要なのは、チャレンジを成功させることではなく、得られる成果を最大化させることです。そのために、海外にいく目的はなんなのか、手段としてあっているのか、どんなサポート体制が望ましいのかなど、所属先のDeNA、本人、TWOLAPSスタッフで議論を重ねました。今回の目的は大きく二つです。

①オーストラリアの選手と切磋琢磨する中で強化すること
2年間、コーチングしていて思ったのは、館澤はビーストだということです。考え抜かれた練習よりも、誰と競うか、どんなモチベーションで練習に臨むのかが成果がでると感じています。強い選手に挑んで帰ってくる。そんなシンプルな武者修行。僕は失敗したけど館澤はこっちのほうが向いていると確信しています。



②将来的に一人で海外で活動できる礎を築くこと

海外で挑んで潜在能力を高めて、日本で動きや体を修正する。良いとこどりの強化を今後は考えています。そう言った中で、渡航の準備、現地での生活、チームでのトレーニングなどTWOLAPSのサポートがなくてもできるようにするのが今回のポイントです。館澤の英語力はこんな感じなので手取り足取り全てを準備したくなるのですが、スタッフでそれは禁止しました。館澤がすべてを自分でやれといってるのではありません。館澤が全てを把握して、自分がなにができなくて、誰に何を頼むかを館澤が決めることが成長につながる。そのサポートがTWOLAPSが行います。


横田からの課題

僕が、今回の遠征で館澤に課した課題はこれです。

10個の失敗談をつくってこい。10個つくるまで帰ってくるな。

一般的に選手が海外遠征にいったりするときに、良いパフォーマンスを出してほしい、トラブルなく過ごしてほしいと思うのは、当然の心理だと思います。もちろん大事なときはそういった側面が優先させると思いますが、一方でサポートというのは選手の成長機会を阻害する可能性があることを視野にいれるべきだと考えています。僕は、この遠征でたくさん失敗してきて欲しいと思っています。そして、それを乗り越える力と、笑い飛ばせるタフさを身につけて帰ってきて欲しいです。たくさんチャレンジしてたくさん失敗してくる。自分で失敗を掴み取ってきて欲しいと思います。なぜなら僕は失敗について以下のように考えているからです。

・だいたいの失敗は一年後にはネタになる
・失敗してないやつはつまらない
・失敗のないチャレンジで得られる成果はたいしたことない

失敗を重ねたチャレンジの先にしか館澤が見たい世界はないから

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📸by EKIDEN News



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