見出し画像

KZ AS16 イヤホンレビュー

昨今、KZ のイヤホンについて、 Twitter イヤホン界隈では少々あまり良い噂を目にしませんが、AS16 はとても良いイヤホンなので一回レビューを入れておくことにします。だいぶ使い込んでいて外装もそれなりに傷がついておりますため、写真はご容赦ください。
レビューの内容はエージングとしては数百時間、2 年半弱の使い込みの後になります。
なお、ここ最近、セールでなかなかの値下がりをしており買い時です。オススメ。いくつかリセラーがあるため、リンクも複数張っておきます(セールのタイミングもまちまちです)。

音質

全体的にややドンシャリ構成。全体的に音の輪郭は明瞭であるが聴き疲れはしない。解像度は値段(私の購入当時は 1.2 万円ほど)からすると非常にコストパフォーマンスは高い。
筐体は結構大きめなのにもかかわらず音場はやや狭く、少々密な空間、いわゆる密閉型の鳴りかた。ボーカルなど配置が真ん中に存在するものは、かなり近い場所で鳴っているように聴こえる。縦の立体感はさらに狭く感じることもある。
破綻を感じず、性能の良さにまかせて素直に鳴らしている印象。全体的に「ここが特徴的」と言うような個性はないが、何でもほどよく味付けして鳴らしてくれるという意味ではソースを選ばずオールマイティに活躍してくれる。密度のある中で、音の分離や解像度を楽しむことができる。

低音

非常に明瞭。量は普通。 300hz 前後もほどよく抑えられており音の配置がよくわかる。 50hz 以下はかなり薄く、これも低音が明瞭に繋っているかと思われる。
ソリッドでアタック感もあるが、嫌味がない程度に抑えられている。余韻は薄く、リリースはすっと終わる。

中音

ほぼ不得意な楽器は無い。量も不足がなく、破綻を感じない。
ドンシャリではあるがバランスが良いため埋もれることはなく、密な音場の中でしっかりと鳴らす印象。
金管楽器も十分に力強さを感じるし、男性・女性ボーカルそれぞれ不得意もない。「艶が乗った」と言われるような鳴りかたはしないが、それなりにアタック感を必要な分だけつけてくれる。
こちらも低音同様、余韻は薄く、すっと抜けていく。音場がやや狭いため、リバーブを感じづらいのかと思った。

高音

バランスは取れているが、ややエッジが強いときがあるかなと感じることもある。
音場が狭いためヌケの良さを感じることはあまりないが、音の配置は十分に判別できるし明瞭さを感じる。

作りと装着感

筐体はなかなか大きく、少々重さを感じる。そのため、人によっては重みで疲れるということもあるかもしれない。個人的には安定して耳に収まってくれるので、特に困ったことはない。
デザインは可もなく不可もなく、外装のアルミ部分はややチープさを感じる。 LEFT/RIGHT の表示は有り難いけど、何も書かずシンプルにして欲しかった。
KZ AS10 と違い、ステムに返しがついているのでイヤーピースが外れにくい。AS10 はよくイヤーピースを落としていたので、地味ながら改良してくれてよかった。その他、通常使っている分では、特に困ることはない。
デザインでの不満は少々あるものの(というより、最近のイヤホンは低価格でもなかなか格好がいいものが多い)、総じてしっかりした作り。人によっては重さが難点になる。

ケーブルはリケーブルを推奨。デフォルトのものは細く絡まりやすい。

遮音性や音洩れ

遮音性は作りなり。普通のカナル型イヤホン相当。
音洩れは電車内でも通常の音量であれば全く問題なし。ベント穴もなく、しっかりとした密閉型であるため、よほどの音量でなければ漏れる心配はない。

総評

……と、ここまで書いてきたけど、このイヤホンはこの 2 年半弱もの間メインで使っていたということもあり(2020 年は通勤中これ一本だった)、かなりの愛着がある。
「非常にバランスが良く、明瞭」と純粋に性能の良さと、どんな音楽でも破綻なくそれなりに元気に鳴らすということで、当時はずっとこれ一本で良いなという感じだった。(結局、そのあと何本もイヤホンは生えてきた)

購入した当時は 1 万円強ということもあったが、現在は 5000 円程度で買えることもあり……恐ろしくコストパフォーマンスが良い。音質抜きにしても、片側 8 BA がこの値段というのも凄い時代になった。
KZ は某社のデザインを良くパク、もとい真似た時代のものから使っていたが(ZS5/6……公式サイトから消されてました) AS16 はそれらの完成形であった。群雄割拠で製品サイクルの激しい中華イヤホン界において、発売開始から 2 年経った現在でも AS16 はコストパフォーマンスに優れ(その上でセールで売られるわけだから、まあ凄い)、とても良い性能がある。


老後、奥さんと世界一周のための費用にします。