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個別指導アルバイト講師研修① 「始まりと終わり 〜塾に来る、授業を終える〜」

個別指導のアルバイトの先生へ

「始まりと終わり ~塾に来る、授業を終える~」

〈はじめに〉
 講師研修についてまず何から話そうかと考えたときに、いろいろありますが、授業科目の専門的なことについてではないことである事は確かです。授業で教える内容ももちろん大事なのですが、それ以前に気を付けておかなければならないことがいくつかあって、ある程度それを実践しないと生徒から「嫌われてしまう」ことになってしまうからです。生徒から「嫌われてしまう」のは多くの場合で致命傷です。勉強することに先生の人格やふるまいは関係ない、先生は専門的知識を教えてくれるただのマシーンであると捉える生徒がどれだけいますか?それでいいと考えている生徒は、あなたの塾を選ばないと思いますよ。

 塾の講師という仕事は、サービス業です。そのことについての議論はあると思いますが、ここではサービス業と捉えます。
 また、学校の先生とは大きく違います。その違いとは、学校では頑張らないと生徒も辞められないですが、塾では生徒は簡単に辞めることができるということです。厳密に言えば学校の生徒も不登校になるとかそういうことがあるかもしれませんが、塾の場合の生徒は、親に言えば簡単に辞めてしまえるわけです。なんなら今日から「行かない」と言って、挨拶もせずに辞めてしまうかもしれません。先生が気に入らないからという理由で簡単に辞めるんです。たとえそれが理不尽な生徒側だけの感想であったとしても、辞めるわけです。
 生徒が辞めるという事は、ほとんどの塾はお月謝で成り立っていると思いますので、お月謝がなくなるわけです。そのお月謝はひいてはアルバイトのあなた方のお給料につながっていますので、生徒が1人辞めると言う事は大問題です。自分の給料を削っているのと同じことになります。
 ですから塾の先生は生徒が辞めないようなサービスを提供しなければいけなません。しかし、勘違いをしないようにお願いします、それは生徒に媚びると言うことではありません。塾の仕事の難しいところではありますが、いけないことを生徒に「いけない」と指摘したり、塾長先生や教室上の先生が許可してくれた場合、ときには叱ったりもしなければいけないかもしれなません。優しいだけでは生徒がついて来なかったりもします。もちろんパワハラまがいの厳しい指導は生徒がついて来ません。バランスが大切です。その塾の塾長先生や教室長とよく相談して提供するサービスの度合いは決めなければいけませんが、サービス業であると言う意識は持たなければいけないと思います。
 このYouTubeでは精神論はあまり述べたくありません。何故かと言いますと、塾は塾長先生のお考えによって、その塾の色が決まっていると思うからです。それは言わばその塾の核ですから、その塾の精神論に踏み込むような事はしたくないのです。
 ですからここでは、使えるようなテクニックに絞って話そうと思います。できるだけ具体的に使えるようなテクニックを心がけて話そうと思いますから、実践に役立ててください。
 もう一度申しますが、このYouTubeでお話しさせていただく事は、各塾のコンセプトや精神に踏み込むものではありません。ですから細かい事はその塾長先生とよくお話しして実践するようにして欲しいと思います。その塾に合うようにアレンジして使ってください。

〈授業が始まる前…出勤〉
 第1回目の今回は、授業を始める時と終わる時に関してお話しさせていただこうと思います。授業を始める前と終わった後、これは「終わり良ければ総て良し」ということわざもあるぐらい、大事な時間です。
 塾に来る際に言及できることは、服装のこともありますが、服装についてはここでは述べません。スーツでなくてはいけないとか、ドレスコードがある塾もあるでしょう。金髪がダメな塾もあればいいという塾もあるでしょうし、半ズボンなどもしかりです。塾によって違うでしょうから、そこには今回は触れません。今回触れるのは、塾に来た際のふるまいなどです。
 さて授業が始まる前あなたはどのくらい前に出勤しますか。塾によっては授業が始まる30分前に入室しなければならないなどの決まりがあるかもしれなません。しかし授業開始前の30分前の入室にお給料がつくかつかないかはその塾の判断ですので、かならずしもそうした塾が多いとは言えないと思います。実際に僕が勤めていた大手塾でも、授業にしか時給はついていませんでしたので、30分前に入室してくださいと規則には書いてありましたが、だいたいみんな10分前くらいに入室していました。今は労働基準も厳しいので、30分前に入室なんて少ないかもしれません。
 さてなぜ30分前に入室してくださいと書いてあるのでしょうか。授業には準備が必要だから…それもあるかもしれません。しかし主な理由は別のところにあると思います。
 塾長先生が1番恐れているのは、その授業に穴が開くことです。ですから授業開始5分前にもし入室したるとすると、先生が来るのか来ないのか分からないのでドキドキするわけです。もし先生が来ないとなったら、担当の変更や場合によっては振替の連絡をご家庭にしたりと、思いっきりバタバタするわけです。もしも教室長や塾長が自分も授業を持っているようであれば、自分の授業をつぶしてでも連絡に奔走しないといけなくなるかもしれません。ですから、もしギリギリに入るようであれば事前に今日はギリギリに入室するようになりますというように、塾長にLINEなどしておけば安心だと思います。

 では実際にどの程度前に入ればいいかですが、これは難しいところで、授業の準備がきちんとできる時間と言うしかないかもしれません。授業の準備に時間がかかる人は早めに行くべきですし、例えばその前の街に来てる後に授業の後にすべての次の授業準備をして帰るのであれば、割と授業の直前でも良いのかもしれません。授業の準備を完全に家でするならまた直前でもいいかもしれません。ただ先ほども言いましたようにあまりに直前であると塾長先生は来ないのではないかと心配するので、よくやりとりをしてください。もしかしたら授業準備のために出勤を早めて時給を出している塾もあるかもしれませんね。とにかく授業が始まってから準備をするのは言語道断です。保護者様(つまりお金を払ってくれる方)は例えば授業時間が50分であればその50分間授業してくれるものとして対価を払っています。そのうちの例えば授業の始まりに、「じゃぁ今日何やる?ここやる?じゃあコピーしてくるね」では、そのコピーの時間がちょっと無駄になるとは思いませんか。そういうのも含めて、完全に時間がフレックスな塾なら問題ありませんが、私が保護者だったらちょっとその時間は嫌だなと思います。
 50分の授業を50分フルで使うために授業が始まる前に授業準備を終えておくこと、これはいわばマナーだと思います。その授業準備の時間に時給が発生するかどうかは塾によって考え方が違うと思いますのでここでは言及しませんが、授業準備だけは事前に済ませるように意識しましょう。

〈入室したら…顔見せ・声かけ〉
 そして入室したらですが、授業をしている先生や生徒、それから自習している生徒などがいる教室に顔を見せるようにしましょう。控室や職員室がある場合でも、一旦は教場に顔を見せる方がいいと思います。挨拶がした方が良いかどうかは時と場合によります。授業の邪魔にならないように黙って顔だけ見せる方が良い場合もあります。もちろん集団指導で教室に扉が閉まっていてそこにわざわざ入っていて顔を見せる必要はありませんが、自習生などにはもしかしたら質問したい生徒もいるかもしれませんので、広く「塾に来たよ」という顔見せはしておいたほうがいいと思います。
 そうして挨拶を終えたら、まず来ている生徒を観察してください。もし来ている生徒に困っている生徒がいたら助けてあげてください。もし来ている生徒に、自分の担当の生徒で自習に自習している生徒がいれば、覗いてあげてください。可能なら声をかけて、わからないところがないかとか、今やってる事はテスト勉強になっていいねとか、優しく声かけをしてあげてください。場合によっては自分の担当していない生徒に関しても、挨拶や毎日がんばっている子などの声かけをするようにしてください。ただし自分の担当でない生徒に話しかける際には注意深く接し、自分のやり方を押し付けるようなアドバイスだけはしないようにしてください。生徒も混乱しますし、その生徒を担当している先生にも失礼に当たります。
 そうやって一通り声をかけた後に、授業準備に入りましょう。授業準備中は職員室や待合室にいることが多いかもしれません。授業準備中の来客や生徒が途中で来ることなどもあります、そこにもアンテナは立てておきましょう。
 授業準備中に、例えば保護者の方が見えられた場合には、必ず体を保護者の方に向けてご挨拶をし、声をかけるようにしてください。どうすればいいかわからない場合でも、「すみません私新人でよく解りませんので今塾長を呼んでまいります。この椅子にかけてお待ちください」などの声かけ対応はできると思います。とにかく無視せず声をかけるということが大切です。お客様が見られた場合、必ず体はお客様のほうに向けて、そしてお断りしてから自分の作業をするのがベストです。
 個別指導の場合、自分の担当の授業がメインの仕事にはなりますが、自分のいる校舎に来ているお客様に失礼がないように対応するのは、全スタッフとしての仕事だと思います。
 声かけと言うのはとても大切で、もしかしたら自分の担当以外の生徒が、自習時の自分の声かけや質問対応によって、「とても親切な塾」「とてもわかりやすい塾」「聞きやすい塾」といった良い評判が得られるかもしれません。もしかしたらその声かけがきっかけで、あなたに持ってもらいたいと言う生徒が現れるかもしれません。生徒からの先生指名なんて、名誉なことです!そうすれば自分の担当の生徒が増え、もちろんお給料も増えていきます。そうした普段からの種まきが講師としての人気を上げていくということにもなるのです。
 自分の担当の生徒が自習をしていたら、前述のとおり優しく声をかけるのですが、そこで自習の様子を観察して、良い勉強ができていれば誉める、ちょっと良くない勉強をしていたら修正するようにアドバイスをする、ということも大切です。特に自分の担当する科目だった場合、自習の質を良くすれば成績も上がるのですから、観察するのは当然です。自分の担当科目でなかった場合には、担当する先生の教え方に配慮しつつ励ますのがいいと思いますし、もし塾で選択していない科目を自習していたら「その科目は授業とるのもいいと思うよ、塾長に相談してごらん」などと声かけができれば満点です。

 そのようにして、準備をしつつ、周囲にアンテナを立てながら、自分の担当の生徒が来るのを待ったり、自分の担当の授業が始まるのを待ちます。

〈生徒が来る・帰る時のエスコート〉
 そしていよいよ自分の担当の生徒が塾に来た時、出来る限りその生徒に席を案内してあげるようにしましょう。座席が指定されていない塾の場合にはもちろんですし、いつも同じ席に座っている塾の場合にも、できれば席までエスコートしてあげて、ひとことふたこと雑談をしてあげれば、生徒との距離が縮まったり、有益な雑談もできるかもしれません。生徒がもう来ていて、前の授業を受けていたり、自習していたりした場合も同様です。そうした小さなエスコートは、とても良いことが多いと思います。

 帰る時も同じです。帰る時も授業が終りました、はいその場でさようならと言う感じではなく、出来る限りドアのところまで、またはもし最終の授業であるならば入り口のところまで、送ってあげる事をしましょう。夜帰るときに出入り口で見送ってくれたら嬉しいですよ。もしその時に送迎で保護者の方が見えられていれば、会釈をして、生徒には手を振って見送ってあげてください。雨の日には傘をさして車のドアまで送ってあげれば最高です。

 今回はこれで終わりです。今日出たことをまとめてみます。

〈まとめ〉
① 塾はサービス業。生徒に嫌われない工夫を。
② 入室時間で塾長を不安にさせないこと。
③ 入室したらまず顔見せと声かけ。挨拶やアドバイス。
④ 授業準備をしつつ、周りにもアンテナを立てて。
⑤ 基本、困っている人には声かけ。
⑥ 生徒が来たら席までエスコート。
⑦ 帰る時も可能な限りエスコート。

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