令和6年度東京工業大学生命理工学院総合型選抜について

はじめに

今から以下の情報を出しても遅いと思うので、対策概要のとこだけでも読むのが良いと思います!!!!

令和6年度(2024年)の総合型選抜に合格したとぅTωoです。
令和7年度もしくはその先の入試を控えている皆さんの助けとなりたいと考えたためこの記事を書きました。
軽い気持ちで読んでいただければと思うのですが、文字を強調しているところは個人的に大切であると考えているところなのでそこだけは頭に入れておいてもらえると幸いです。
ところどころにリンクを貼っていますが、すべて令和7年度のものになっていると思います。注意してください。

実績など

  • 浪人1年目

  • 現役時にも総合型選抜の第2段階選抜を受けている

  • 生物学オリンピック2024の本選に出場(メダルは無し)

生命理工学院における総合型選抜について

東京工業大学生命理工学院における総合型選抜は、第1段階選抜と第2段階選抜があります。
それぞれは次の通りです。
詳細は募集要項を確認してください。

第1段階選抜

共通テストの点数と出願書類によって行われます。
共通テストは5教科8科目(令和7年からは情報が追加され6教科9科目となります)の点数を用います。
令和5年度(2023年)では「概ね650点以上」という線引きがあった(私は650点に満たなかったのですが当時は突破してました)のですが、令和6年度(2024年)ではその線引きがなく、ただ単に点数が高い人から規定人数を第1段階選抜の合格とするというように感じました。
おそらく点数式だと人数が多くなることがあり面接が大変なので人数を決めたい、という考えと、出願書類のウェイトを重くしたいという考えがある感じでしょうか。
とりあえず共通テスト8割を目指しましょう。
共通テスト利用などで他の大学も受けると思いますので、8割を目標とするのが良いと思います。
理科の選択はどの2科目でもいいです。
実際私は現役の時は化学物理で、浪人時は化学生物で受けています。

第2段階選抜

筆記試験(90分)と面接試験(15分)により行われます。
筆記試験は生物に関する事柄について説明、考察を書かせる問題があり、すべて記述問題です。近年の過去問は公式ホームページに載っているため赤本を買う必要はないです。もし演習量を求めるのなら、記述問題多めなので東京医科歯科大学の生物の過去問がオススメです。
面接試験は口頭試問と通常質問に分かれています。口頭試問では生物に関する質問が出されます。通常質問では志望理由および志望理由書の内容について、また東工大では物理と数学が必修であるけど大丈夫?のような質問がされます。一つ言えることは最低でも教科書の内容は全部説明できるまで頭に入れておけということです。

志望理由書について

おそらく皆さんは11月あたりから書き始めると思います。
絶対に生物の先生と国語の先生に添削をしてもらってください。
相手は生物のプロなので、仮に文中で「筋肉に含まれるヘモグロビン(ミオグロビンの方が適切)」などと書こうものならその時点で生物をちゃんと学んでないという先入観を持たれてしまいます。
募集要項を見てもらえればわかるのですが、生命理工学院では志望理由とこんなことやってきたよ~という自己アピールを計800字に収める必要があります。
四苦八苦すると思われますが、以下を参考にしていただけると良いと思います。

  • まずは書きたい、伝えたいことを全部書く
    この時点で800字を超えない場合は先生に相談するのが良いと思います。
    生命理工学院に行きたい理由(夢と絡めると良い)、今までやってきたこと(生物に関連していなくてもOKだが関連してるとより良い)、大学に入ってからの学習の意欲、の3つに分けると書きやすいと思います。

  • 順序を考える
    大きな流れとしては、
    将来の夢や志望理由(15%)→やってきたこと(50%)→生物に関しての課題に取り組む意思と東工大でないといけない理由(25%)→大学入学後の学習意欲(10%)
    という感じが良いと思います(流れと割合は私の場合です)。
    しかしこれにこだわる必要もないので、先生と相談してください。

  • 推敲
    書きたいことが多い人ほど800字に収めるのが本当に難しいと思います。
    なので、言葉の言い換えや、だ・である調の乱れを直したりして頑張って収まるようにしてください。
    このような人の場合はです・ます調はやめた方がいいです。

  • 「自分を志望理由書に見合う人間にする」
    正直これが一番大事です。
    志望理由書は書類選考と面接で用いられます。
    志望理由書に大層なことや将来の夢に関して付け焼刃の知識をテキトーに書いていると、面接で化けの皮が剝がれます。
    面接でそうならないように、志望理由書に書いてあることは「これってどういうこと?」と訊かれたときに一文一文すべてちゃんと説明ができるようにしておいてください。
    注意すべきは先生による添削で身の丈に合わない言葉が追加されたときです。
    その場合はちゃんと相談しましょう。
    知識に関しては将来の夢が固まっていれば説明するのは苦ではないと思います。

面接の詳細

筆記試験が終わると、面接試験が始まります。お昼休憩をはさんでからの開始となるため志望理由書を眺めたり、口頭試問に備えて生物の教科書を読んでいたりすると良いと思います。
ただ試験は2月という寒い季節に行うため、暇な友人がもしいたら東工大に呼んで一緒におしゃべりしながら口を動かす練習をしておくのが良いと思います。

面接の部屋に入ると、3人の面接官の方が横に並び、その前に自分が座るイスが設置されています。荷物を持って入室することになりますが、どこに置けばよいかは指示されるため安心してください。

最初に受験番号と氏名を求められたり、着席を促されたりあると思いますが、それはご自身が学校で練習したものを基に行動すれば全く問題ありません。
面接は15分間で、まず志望理由を聞かれます。
志望理由書の内容をなぞれば違和感はありませんが、あまりに同じであると「覚えてきてる」感がしてしまうため、志望理由書の内容から無駄肉をそぎ落としたり、また付け足したりして良い長さのスピーチにしてください。私の場合は、志望理由書のうちの「志望理由」「興味がある分野とその分野の課題点に対して自分が取り組んでいきたいこと」「課題点を解決できるような人材になることができるカリキュラムetc.がある東工大で学びたい」をピックアップしました。また志望理由書に書いていなかったことで付け足したことは「B2D(東工大独特の制度)を利用していきたい」ということです。

志望理由を言い終わったら、午前中の筆記試験の感想を求められます。
問題を褒めまくりましょう。

その後口頭試問に入ります。
今回は以下の2問が出題されました。

  • タンパク質の3次構造と4次構造について説明してください。

1次構造から順に、簡潔に説明しました。あまり長くなると良い回答と思われないため、エッセンスを繋げて伝えることを意識しました。

  • アポトーシスについて、例とその生物学的意義を説明してください。

発生における手の形成と細胞のがん化の防止について説明しました。途中言葉に詰まったところもありましたが、無事説明をすることができました。

口頭試問が終わると「事前に用意されていた質問」をされます。
これは毎年ほぼ決まっており、対策はしやすいと思います。
「数学と物理が必修ですが、大丈夫ですか?」という質問は絶対来るので答えられるようにしておきましょう。根拠も示せるとより良いです。

私の場合はここまでで10分かからなかったので、それからは志望理由書の内容やここまでで発言したことについての質問がなされます。

皆さんが思っているより、発言内容は聞かれています。

矛盾が出ないよう細心の注意を払ってください。そもそも矛盾が出るような状態で臨むのはやめましょう。総合型対策は詰めれば詰めるほど効果が出ますので。

私の所感ではありますが、アカデミアや大学院に進む意思を示すとかなり好印象なのではないかと思われます。
理由としては、志望理由でアカデミアに行きたいという意を含めたところ、その後それ関係の質問が割合的には高く、質問に「大学院に進む覚悟はあるか」という意図がかなり濃厚に含まれていたと感じたからです。

アカデミア志望の方はおそらく少ないと思いはしますが、どちらにせよパンフレットや募集要綱の「求める学生像」を満たす人物であることを伝えようとすることはとても大事です。

対策概要

ここまでの説明の合間にところどころ対策を入れてきましたが、ここでまとめたり付け加えたりしようと思います。

筆記試験対策

近年の過去問は公式ホームページに載っているため赤本を買う必要はないです。もし演習量を求めるのなら、記述問題多めなので東京医科歯科大学の生物の過去問がオススメです。
医科歯科大に限らず、生物・生命系の学部のある大学の入試問題であれば記述問題はあると思うので、それを用いて対策をしましょう。

欲しい力は「要る情報だけを順序よく述べる力」「考察力」です。

筆記試験では「400字以内で述べよ」のように文字設定がかなり多くなっており、過去問を解いてみると「全然足りない(文字数めっちゃ余る)」か「オーバーする」のどちらかで悩むと思います。
まずは文字設定が少なめの他大学の問題でキッチリと説明ができるようにしてから、筆記試験の過去問に取り組むのが良いと思います。
また、筆記試験の問題は考察力を求められます。これは実験結果考察問題や現象説明問題をひたすら解いて力を養ってください。

面接対策

最低でも教科書の内容は全部説明できるまで頭に入れておく。これができなければかなりつらいです。説明ができるということは理解しているということだと言えるので、まずはしっかりと教科書を読みましょう。

志望理由書に書いてあることは「これってどういうこと?」と訊かれたときに一文一文すべてちゃんと説明ができるようにしておいてください。これで説明ができなければただの嘘つきとみなされてしまうことは想像に難くないでしょう。志望理由書を読み込み、仮に説明できなさそうなところがあれば穴を埋める感覚で対策を進めていってください。

「数学と物理が必修ですが、大丈夫ですか?」
という質問は絶対来るので答えられるようにしておきましょう。意図としては単なる心配とモチベーションはあるか、ということだと思います。根拠があるとより良く、それにプラスして、生物を動かしているのは何か?を学びたいと熱望している、のように大学で数学や物理を学ぶ意志を示してください。根拠がなくても学ぶ意志さえ伝えられたらOKです。

口頭試問に関しては、chatGPTに質問を50問くらい吐き出させて、それに対して口で説明できるようにする練習をしてください。学校の先生にそれらを印刷したものを渡し、「この50問の中からランダムに2~3問を口頭試問として質問してください」という感じでお願いするのが良いです。

以下実際に私が使用した、chatGPTに問題を吐き出させるための文言です。

作成してほしい質問の条件は以下の通りです。

(大前提)以下のうち、1,2,3,9の条件は、作成する各々の質問で最低限満たされていなければならない。
1,日本の高等学校で学習する、生物基礎と生物の範囲内で答えられる質問である
2,大きな規模(例:個体群、植生、環境、etc.)ではなく、比較的小さな規模(例:臓器、細胞、DNA、etc.)についての質問である
3,質問内容はなるべくシンプルにすること
4,関連付けられる二つのものについて、それらの共通点を説明させるような質問である
5,関連付けられる二つのものについて、それらの相違点を説明させるような質問である
6,生物学の研究で用いられる手法に関する質問である
7,生命現象について、その理由を答えさせる質問である
8,構造について、その理由を答えさせる質問である
9,分子レベルでの理解を必要とする質問である
10,説明させるような質問である

質問形式は以下のいくつかの例を参考にせよ

(質問1)B細胞とT細胞の違いを説明してください(条件1,2,3,10及び5を満たす)
(質問2)動脈の壁の方が静脈の壁よりも厚いのはなぜか(条件1,2,3,10及び5,8を満たす)

以上に従い、なるべく内容に重複が出ないように質問を50個作成してください。 もし質問内容に重複が出そうならば、その時点で作成をやめ、どのように重複してしまいそうだったかを明記してください。

色々条件に矛盾はありますが、これでそこそこ満足のいく質問が大量に得られるのでぜひ利用していただけたらと思います。

出力された質問の中には高校範囲外だと考えられるものがあると思いますが、それが高校範囲外であるとわかるほど教科書を読みまくってください。高校範囲内なのに見たことがない問題だと感じたらかなり危ないと思います。

さいごに

ここまで読んでいただきありがとうございました。
皆さんの合格を心より願っています。
そして皆さんにはぜひ生物の可能性を広げていっていただきたく思います。

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