農耕民と狩猟採集民

人類の転換点と言うと車輪、文字、コンピューターと言った物の発明が思い浮かぶかもしれないが、これら道具や文化を全て可能としたのは農耕社会への切り替えである。
まず通説について正すが、狩猟採集は農耕民よりひもじいわけではない。さらに農耕社会=定住とは必ずしもいかない。日本でも狩猟採集民は最初定住生活をしていた(海産物や土着の植物に恵まれていた)。
さて歴史でも学ぶように人類最初に農耕を始めたところは紀元前8500年前のメソポタミア肥沃三日月地帯である。これはメソポタミアに賢い人々が住んでいたと言う訳でもなく、農耕に適した固有種や河川、土壌がたまたまここにあっただけである。
そして農耕は土地あたりの算出カロリーの増加、そして余剰食料の貯蔵を可能とする。これが今までにはなかった農業に関わらなくて良い「特別な仕事」を作り王族、官僚、技術者といった職業を可能とする。これらの人々が冒頭の発明を作り出したわけである。
元々、人々はすべて狩猟採集民であったが、現在は皆農耕社会で生きている。このトランジションは数千年をかけてできており、農耕をする、しないの選択は人々の環境や必要に応じて成されている。飢えを回避するためには一か八かの賭け的な要素が有る狩猟採集より確実性が重要であり、農耕が比較された結果選ばれた。つまり農耕を始めた人々が狩猟採集民より賢いわけではなく、生存するための選択を重ねた結果農耕に行き着いたわけである。

(一年ほど前に 銃・病原菌・鉄 という本を読んだ後に書きました。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?