2023/08/30①

「あなたが、自身のこの有様が露呈するのを恐れて、土地や建物の処理・利用について教団に問い合わせないのならば、私が直接連絡する。息子の口から周りに知れるよりはご自分でお伝えした方が名誉が守られるように思うが」といった内容のことを父に伝えた。肉親を脅すように言葉を使う日が来るというのは思ってもみないことで、想像していたよりも哀しみや喪失感に襲われることはなかった。ただ、身体の奥に芽生えたしこりのように、そう簡単には取ることのできない疲れが溜まっているのを感じた。彼にも立場と面子があるのは分かる。しかしそれは本当に父親としての義務に先立つようなものだろうか。そしてその言葉を盾に、昔より老いて痩せた父に労働を課すのは子の権利の範疇だろうか。もっとも、それに答えがあったとしても我々は生活から逃れられないのだけれど。

つまるところ私はきょうだいのためと称して自分のために両親の信仰生活を破壊している。何度同じ状況に追い込まれても同じことをするけど、大学で宗教学を学んだ私が、人から神を取り上げようとするのは陳腐な脚本だと思います。神さま。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?