2023/08/15

「先生に贈物をあげるね」
「何?」
「受け取れる人は限られてるけど、先生ならきっと大丈夫だよ」
「どうやるの?」
「まず眼を閉じて。それから、じっと、真っ暗で、何もないところを思い浮かべて」
/高原英理『観念結晶体系』(書肆侃侃房、2020)

引用は武夫から贈り物があると言われた正樹の、それをバルザムシュタインへの道筋だと涼解するまでの察しの良さが好き

人生のステージに合わせて読む本が変わる/を変えるべき、といった言説を聞いたことがありますが、私はそれを実践できず生活と関わらない場所に読み終えた言葉を積み重ねているように感じます。あらゆる記号のない何かとなって灰色の、種子を内包するような綿雪が降るのを見ているだけ。

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