2023/09/02②

私のさまざまな思いわずらい、考えまでも消えていた。私はとらわれていなかった。私は自分のみじめさを追求していなかった。池は広々としていた。写真を撮った。何かをするのも、じっとしているのも、またお喋りするのも楽しかった。一本足の蛙の子がむらがっていた。いもりがちょいちょい水面から口を出していた。水面の小波、岩の反映が美しかった。目新しく驚きだった。
 そして私は私のみじめさ、私の欠点、私の不満や醜さからまったく離れて、やっとまっすぐに神を想った。私の想うのは神のみであり、それを妨げ、曲げる何もなかった——解き放たれて——。私自身の姿が消えて。
/208p『ユキの日記』笠原嘉 編

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