2023/11/12
引越しの手伝いに来る予定だった弟と朝から全く連絡が取れずバラエティ見ながら妹と三人前の中華料理をつついて、どこかで決定的な水漏れが起こっているような幸福の一日だった。結局妹ひとりにあれこれと手伝ってもらい将来や漫画や他のきょうだいや料理の話なんかをして終電の一本前に帰す。駅まで送る。歩く。雨が降り出していたので折り畳み傘を借りて差す。駅まで肩代わりしている、来なかった弟に渡してもらおうと思っておかずを詰め込んだリュックが重い。正確には私には重くないけど、私より頭ひとつ分以上小さいこの子には重いに違いない。重いに違いないという想定でいた方がいい。駅に着く。発車時刻の三分前まで改札前で話す。意識の前半分は会話に使って後ろはこの子の帰り道を考える。最寄り駅から歩いて二十分。リュックを背負って、トートバッグを提げて、ケーキの箱を抱えて、折り畳み傘を掲げて、この子が歩いている。雨が降っていて月明かりがなく街灯が周囲も自身もぎんいろの結晶柱のようにするどくしている。気候は冬へと傾き大気は乾燥した粘性を持って夜が遠くまで体内の重み。お互い予定があるというのは理由にならないかもしれないけど、それにしたってこんな暗くて寒い場所をなんで妹はひとりで帰らなければならないんだろう。弟は今どこで何をしているんだろう。せめて温かい場所にいるといいけれど。
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