2023/07/10

あ、遠い。カーブミラーの奥にずっと道が続いていて、鏡の中の私の背後にどこまでも奥行きがある。そのまま鏡面に手を差し込めたら、私は後ろに向かってずっと進んだことになるんだろうか。そのこと自体がメタファーだったなら、鏡の世界を進むことは過去に向かって行くことになる。始まりの白い光に向かって、猿の時代と氷の時代と大型爬虫類の時代と海の時代を抜けて、身体の構造を原始的な(もうここでは「原始的」という表現はただの修辞でしかないけれど)ものへ変化させながら、極めてシンプルな生き物へ変身しながら、進む。鏡の中では時間は反転している?その点毎に世界は左右逆にして正確に映りつつ、鏡の風景は未来から過去を遡り続けている。

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