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【EURO2024】Round4レビュー

スペイン対フランス

圧倒的な強さで勝ち上がってきたスペインと優勝候補筆頭ながらやや低調なフランスとの一戦は割と早い段階で試合が動いた。9分、ウスマン・デンベレ(フランス #11)が逆足でサイドを変えるとキリアン・エンバペ(フランス #10)がタイミングをずらしてインスイングのクロスを供給。先発抜擢のランダル・コロ・ムアニ(フランス #12)が頭で合わせてフランスが先制。ようやくOGとPK以外でのゴールが生まれた。堅守のフランスが先制したことでスペインは厳しい試合になるかと思われたが、若き才能がその状況を早々に打ち破る。21分、ルーズボールを回収したラミン・ヤマル(スペイン #19)が相手をドリブルで剥がして左脚ミドル。インスイングのボールは美しい弧を描き左上隅の絶妙なコースに吸い込まれた。このゴールで追いついたスペインは4分後、相手のクリアボールを巧みなタッチで収めたダニ・オルモ(スペイン #10)が右脚を振り抜いて逆転弾を生み出しあっという間にスペインが逆転に成功した。その後はスペインがボールを支配する展開が続いた。中盤の底のロドリ(スペイン #16)を中心にスローなテンポでのビルドアップを敢行し、時間をうまくコントロールしていた。フランスは終盤に攻勢を強めたが、ゴールが遠くスコア2-1でスペインが決勝進出を決めた。
この試合はヤマルのパフォーマンスが際立っていたが、個人的には相手DFを散々苦しめてきたニコ・ウィリアムズ(スペイン #17)を封じ込めたジュール・クンデ(フランス #5)をMOTMに推したい。個人の守備の強度は他を圧倒していた。


オランダ対イングランド

GSでは低調も決勝トーナメントに入って少しずつ調子を上げてきた強豪同士の一戦。こちらも試合早々にスコアが動いた。7分、敵陣でボールを奪ったシャビ・シモンズ(オランダ #7)が強烈ミドル。名手ジョーダン・ピックフォード(イングランド #1)がわずかに触れるも無回転のボールはゴールの左上を突き刺した。このゴール直後は先制を許したイングランドの方が動きが良く、攻め立てたことでPKを誘発。これをエースのハリー・ケイン(イングランド #9)が冷静に沈めて18分に追いついた。その後は一進一退の攻防を繰り広げ、ダンゼル・ダンフリース(オランダ #22)、フィル・フォーデン(イングランド #11)にそれぞれ決定機がありながらもスコアは動かなかった。延長戦に突入も考えられたが90+1分、終盤に投入されたオリー・ワトキンズ(イングランド #19)が大仕事。得意の裏抜けから思い切ったシュートはステファン・デ・フライ(オランダ #6)の股下を抜け、ゴール左隅に吸い込まれた。これが決勝ゴールとなり、イングランドが2大会連続の決勝進出を決めた。
最後のゴールについては元イタリア代表のジョルジョ・キエッリーニの解説が話題でわかりやすく、ワトキンズの進行方向、GKバルト・フェルブルッヘン(オランダ #1)の立ち位置を踏まえると、DFとしてはファーサイドのコースを切るのが正解。となると足を出してしまったデ・フライはミスを犯したというもの。厳しいという見方もあるかもしれないが、実際命取りになるレベルのミスであったのは間違いないだろう。ただ、これに関しては個人的にはここしかないというコースに撃ち切ったワトキンズを褒めるべきだと思った。
MOTMはコビー・メイヌー(イングランド #26)。パススピード、守備強度、切り替えの速さ、全てのスタンダードが高い基準にあった。

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