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ショーター部長流即決営業1

【住宅販売】
私が勤める会社は不動産の買取再販が主事業。
中古住宅をリフォームして一般エンドユーザーに再販売する。
この再販売の方法は様々。
今回はポータルサイト掲載からの反響取り営業。

物件は堀車庫/前面道路は下り坂
二階建4LDK/価格1,980万円
リフォーム無の現況販売

おすすめポイントは
1.この建坪でよく4LDKにできたな
2.近々最寄り駅が延伸、都内直通運転開始

※物件はこんなイメージ↓

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個人的にはネットの反響客はNGにしたいw
なぜなら勘違いセミプロネットサーフィン客が多いから。
私はポスティング・飛び込みからのアナログ客を相手にしたい。
それが得意。
しかし会社の方針はポータルサイトからの反響取り。
リーマンつらし。従うしかない。

さて、ポータルに掲載して早速の反響。
電話に出たら、「すみません。今接客中なんで5分後にかけなおして下さい」と言って切る。
客から掛け直しさせる。客に手間を取らせる。客に作業をさせる。
※これは成約に向けた詰めの作業の一つ。
最初の電話対応から詰めの作業は始まっているのだ。

客から再入電。ここで会話スタート。
客からの物件に対する質問は受け付けない。
丁寧にしかし一方的に以下のことから聞く。
(名前)(年齢)(家族構成)(動機)(資金計画)
※資金計画はほぼ住宅ローン。
だから職業と年収を聞く!必ず。
当たり前だが属性が低い客はローン否決で不動産は買えない。
買えない客を相手にしても時間の無駄。お互いに。
そのことを丁寧な言葉ではっきり伝えるとだいたいのお客さんは答えてくれる。

属性が低そうだと親の支援の有無を聞いて無しならここでハイさようなら。
※住宅ローンがあやしい客を相手にしても時間の無駄だからね。
※客から物件の質問が来たら「内見してから質問して下さい。それが無理ならいいです。買って下さいなんて頼んでませんから」と優しい口調で返して沈黙。
客がわかりましたと返してきたら、
(名前)(年齢)(家族構成)(動機)(資金計画)を聞く作業に戻るだけ。


今回は年齢32歳、独身、職場まで最寄駅から一本、住宅ローン
メーカー勤務、勤務年数8年、年収700万、自己資金150万
※住宅ローンに問題なしと判断。

次、内見の日時を決める。
※日時を決める時、すべて客の都合を聞かないようにする。
言葉は丁寧に、しかし主導権は常にこちらが握らなければいけないからだ。
だから日と時間のどちらかだけでもこちらから指定する。そして言い切る。

客が指定してきたのは日曜日。
日にちは客に指定させた。ならば時間はこちらから指定する。
「わかりました。では日曜でしたら8:30で」と伝えて沈黙。
数秒沈黙が続いた後、客から「わかりました」との返答。

次、何名で来るか確認。
※既婚なら子有り子無しにかかわらず必ず夫婦で内見にきてもらうようにする。
片方だけでの内見だと断り文句がでやくすくなるためだ。
よくあるのが「一旦持ち帰って妻に相談して連絡します」
「来週主人が休みのときにもう一度みさせて下さい。一緒にきますから」
これらは私の中では断り文句。次回に・次週に持ち込みは見込客にあらず。
※独身なら何名で来るか確認。
一人なのか、彼女と一緒か、親を連れてくるのか、友人知人を連れてくるのか。
同行者が友人知人なら同業・元同業の可能性も警戒しなければいけない。

次、車か電車のどちらで来るか確認。
今回は車
※電車なら私は最寄駅で待ち合わせする。
理由は駅から物件に向かう間にテストクロージングをかけるため。
注:車ならカーローンの有無を気にかけておけなけらばいけない。
ここまで聞いたら「では土曜日の20時までに確認のお電話をください。」と言って電話を切る。
※客から確認の電話を入れさせる、これは客の意思を確認するための作業。
こちらから前日に確認を入れるのは弱い営業。
主導権を握るためには多少でも客に手間を取らせる、行動させることが重要。
※お待ちしております、是非お越しください等はNGワード。
アポ欲しさや成績欲しさからお願い営業になりがちだが「うちの物件を売ってやる」という強い気持ち必要であり、気持で負けるとまず成約までいたらない。

そして土曜日 12時過ぎ
客から「明日予定通り行きますので」と連絡があった。
約束の20時ではなく12時過ぎに。
※私は来る気があるなら朝一か昼休憩の時間帯に電話が来ると予想していた。
20時近辺だと断りの可能性もある。
人は言いにくいことほど約束期限ギリギリに伝えてくることが多いから。

私は「では明日8:30現地で。認印をご持参下さいね」と返答し沈黙。
客「わかりました」
※この時の感覚ではまだ主導権を握り切れていない。
注:この時、何故認印が必要なのかは客から聞かれるまで答えない。
これはクロージングをかけるための前さばき。
聞かれたら答える、
質問が来たら答える、
質問させるように仕向けてこちらのペースにはめ込んでいく。

※何故認印が必要なのか質問がきたら
「明日物件を見て気に入ったら買いますよね」 ここで沈黙。
客が「はい」と答えたら、「その場で申込み書に署名押印いただくためです」と返答し沈黙。
客が「わかりました」と返答してきたら「では明日」で電話を切る。

逆に「ならいいです」「明日すぐには決めれません」等の回答がきたら、「では明日どうします?明日内見して決めれない人が後日決めれるんですか?」と言ってまた沈黙www
返答してくるまでひたすら沈黙。日付けが変わってもいいから客が答えるまでひたすら沈黙www
買う意思が低い客はだいたいここで脱落。ハイさようなら。
私はしつこくしない。ここで見切りをつける。
仮に巻き返しができそうな雰囲気になったら、再度「見て買う気になったら申込み書に署名押印くださいね」と言って沈黙。
客が「わかりました」と返答してきたら「では明日」で電話を切る。それだけ。

内見当日
私は客を外で待っている。
客が車で来た。
※BMのワゴン。独身のBM乗り。
私は物件の駐車場に車を止めるようにジェスチャーで伝える。
車庫幅はBMの車幅ギリギリ。
幅に余裕のない車庫に客は一発でBMを停めた。
しかも自分が車から降りやすいように。
※これを見て私はあなどれない客と判断。

ここまでの注意点
1.ネット反響客だから物件マニア、内見慣れしてる可能性有り。
2.資金調達は住宅ローン。車はBM。おそらく数百万はする。返済比率を考えるとカーローンの残額次第では
住宅ローンが厳しい。ここを確認する必要がある。
3.車の停め方から鈍い客ではない。

客が車から降りてきた。
物件の玄関は駐車場横の階段を上がったところ。
客が玄関から中に入るまでが勝負。
物件に入るまでに完全なる主導権を握っておきたい。
何故なら中を見せてもリフォームしてない現況販売の物件では勝負がしにくい。
だから見せる前に勝負をつけておく必要があった。

駐車場から玄関までは数十秒の距離。
この数十秒間に全エネルギー・集中力を注ぐ。かける。

客が車から降り切ってドアを閉めた瞬間にまず注意点2を払しょくにかかる。
「いらっしゃいませ。いい車に乗ってますね。男前で独身、メーカー勤務、モテるでしょ。ナンパしまくってんじゃないですか?でも車はフルローンの落ちだったりしてw」とテンポと勢いで切り出した。
すると客は「車はローンないですよ」と一言!!!一発回答!!!
ただしこの一言でだけで客は黙ってしまった。
これだけじゃ掴めない。全く主導権は握れてない
しかしまだ玄関に着くまで数秒ある。どうしよう。
0.5秒考えて以前使った作戦でいこうと判断。

数秒間、沈黙のまま玄関の中へ。
私が先に中に上がって直ぐ客のほうに振り返る。
客が靴を脱ぐ動作に入る。

客が靴を脱ぐ動作に入ったその瞬間
「○○さん、買う気がないなら中見ないで下さいね。お互い時間の無駄なんで」と一言放った。
放ってそして沈黙、、、
ドクンドクンドクン 心臓が高鳴り背中に汗が滲み出る 

客「はい、わかりました」
私「ではどうぞ中へ。はいスリッパ。」
このやり取りで私は場作りに成功。
この空間の支配者となった。
客を飲み込んだ。
あとは固めるだけ。

私「二階からどうぞ。質問は最後に纏めて受付ますから」
と言って一人で見に行かせる。

どれくらいかな。15分ぐらいかな。
客が二階から下りてきた。
私「じゃあ次は一階ですね」

当たり前だ。二階建てなんだから次は一階しかない。
これはわざと次は一階ですね、と含みをもたせたのだ。
客が確実に含みとして感じ取るように。

一階も客一人で見させる。
その間私は二階の窓のカギを閉めに上がる。
客を一人にする。
私は頃合いを見計らって一階に下りた。

私「全部見ました?」
客「はい」
私「ほんとに全部見ました?庭は?」 沈黙
客「え、庭があるんですか?」
私「ありますよ」
※この庭の為に先ほど含みをもたせておいたのだ。

含みの効果があったかどうかはわからなかったが
ここでたたみかける。
私「ご自身の家ですよ。よく見ないと」

そう言って言われなきゃ気がつかない洗面所にある外に出れるドアまで客を誘導。
そして「そこのドアを開けて下さい」
客に自らドアを開けさせる。
あえて何も私からは言わない。沈黙。

客「ほんとだ。ここに庭があるんですね」
私「はい。ナンパして家に連れ込んでここでバーベキューでもすればいいじゃないですかwww」
私はわざと笑った。
客も笑った。

そして最後のサイレントタイムへ。
客が笑った。私は沈黙。
ひたすら沈黙。
心臓が飛び出そう。
自分から言葉を発したい衝動に駆られる。
長い。ほんとに長い。
めまいがする。
足のつま先まで汗が。

客「でどうすればいいんですか?」

勝負あり。

待ち望んだ言葉を客が発してくれた。

内容(属性)優先・契約優先。

私「住宅ローンが通らないと買えません。ですから事前審査の申込書にご記入ください」
と言って鞄から申込書を取り出しその場で記入してもらう。

その次に、売買予約契約書に署名押印。
買付では申込金(預かり金)が取れない。
だから売買予約契約書を用意持参しておく。

※簡単に載せると以下のような内容
売買代金 金1,980万円也
申込金 金20万円也
※乙は本予約契約締結と同時に、購入申込金として甲に金20万円也を支払う。
2.購入申込金は本件不動産の売買代金に充当する。

全ての書類に記入、署名・押印が終わったら申込金をおろしにコンビニにGO
運転免許証もコピー

エピローグ
コンビニの駐車場にて
客は喫煙者。私も喫煙者。
コンビニの灰皿で煙草を吸いながら念押し。

私「源泉はいつまでに用意できますか?」で沈黙。
客「明後日までには」
私「事前は通ると思いますので課税証明も用意しておいて下さいね」
客「はい」
私「事前が通ったら本契約です。源泉いただいて翌日には結果がでますので本契約は来週土曜でどうですか?」
客「わかりました」
日にちは私が決めたので時間は客に決めさせる。

私「時間はどうしましょ?」
客「10時でいいですか?午後遊びに行きたいんでwww」

いい感じだ。客が自分で笑ってる。

私「いいですよ、では土曜の10時、弊社でお待ちしてます」
 「場所わかります?あ、BMのカーナビなら大丈夫ですねwww」
 
最後二人で笑ってこの日の接客は終了。

※お勧めポイントの
1.この建坪でよく4LDKにできたな
2.近々最寄り駅が延伸、都内直通運転開始
は使わなかった。

必殺技は小出しに。
そしてなるべく使わないようにする。
良いことは言いたくなるんだけど我慢。
我慢と沈黙。
都内直通運転開始ネタなんかだと「資産価値あがりますよ」
とか言いがちだけどそんな不動産の話をしても意味はない。
私はそのタイプの営業マン。
不動産屋なんだから不動産的に良いことを言うのは当たり前。
だからあえて言わない。その場面がこない限りはね。


以上、ある日の住宅販売でした。


愛のビールをお恵み下さい。