寄り道の素晴らしさ
ヘヴィメタルが好きである。
ツインテールがメタルを辞めたら、日本のメタルが終焉すると勝手に思っている。
結成してからずっと、どれだけ笑われようが「ヘヴィメタルやっています!」と言い続けていたので笑って許してほしい。
メタル以外の音楽をやるつもりは全くなかった。
ところが、以前お話したアコースティックギターを弾くことになった話。
そこから少しメタル以外もかじるようになった。
ある日、兄から連絡があった。
自分のやっているアニメソングバンドのベーシストが脱退したので手伝ってほしいという内容だ。
『ペガサス幻想』のような80年代ロックの系譜のアニソンをやるのか?と思ったら、現代の子供達にウケる曲をやるらしい。
まったく乗り気になれなかった。
まず現代のアニソンを全く知らない。
しかし、兄には大人になってから音楽関係で世話になっているので一度だけ手伝うことになった。
スタジオで演奏したのは女の子向けアニメソングや童謡などであった。
ところがこれが驚くほど楽しかった。
今まで体感したことのないノリ、テンポ感、自然と元気になるリズムや歌詞。
音楽ってメタル以外でも面白かったのか!と思った。
しかし問題もある。
演奏がとても難しい。
ヘヴィメタルで培った技術が基本役に立たない。
メタルでは使わない運指が沢山あり、同時にコーラスをしながら弾くのがかなり困難だった。
片手間でやるはずが、ツインテールの楽曲よりも練習せざるを得なくなってしまった。
これだけベースを練習したことはないというぐらいやって迎えた本番は素晴らしい演奏ができたのは言うまでもない。
子供達は全力で歌って暴れるので、アイアンメイデンのRock in Rioぐらい盛り上がった。
結果、ライヴ後は各段にベース演奏が上手くなっていた。
ベースヴォーカルとしてのシンクロ感も格段に上がっていた。
全てはメタル以外の音楽を真剣にやった結果。
剣豪宮本武蔵は『五輪書』の中で、
「剣の道を極めたかったら剣だけやるな」
と言っている。
ひとつの事をやりながら、平行して他の事もやれということである。
ひとつの事をやっていると、必ず壁にぶつかる。
それが自分を精神的に追い詰め、鬱になったり人間関係を破壊することもある。
そんな時に、やっていることと全く関連のないことをやってみる。
テキトーにではなく、かなり真剣にやることが重要。
すると、その別のことが本業の壁を壊すヒントになるのだ。
精神的なことだけではなく、本当に状況を打破する起爆剤になる。
(ちなみに吉川英治の宮本武蔵では、武蔵は剣の道とはまったく関係のない農業を真剣にやっている。)
武蔵だけではなく、いろんな人が同じことを言っている。
とくに有名なのは、同じ宮本つながりで任天堂のマリオの生みの親である、宮本茂氏。
いぜんインタビューで、
「面白いゲームを作りたかったら、ゲームだけやるな。」
と仰っていた。
映画や音楽、スポーツ等に慣れ親しみ、ゲームから離れないと面白いものは生み出せないというわけだ。
恐らく僕が作曲に苦しんでいる時、ゲームをしたりソロキャンプをしたりすることが無意識のうちに役に立っているのだろう。
一見無駄に見えることが自分のやるべきことを生かしている。
傍から見たらサボっているとか逃げているように見えることも、どんどんやっていくべき。
それらが後の自分を助けることになる。
でも、それにかまけて本業を捨てちゃだめよ。
というわけでベースの練習をしなければならないのですが、スト5やってきます。
いや、EXダブルニープレスからの起き攻めの攻防がそのうち役に立つのよ。
多分。
サポートいただければツインテールの活動がより円滑に動きます! それはつまりジャパニーズヘヴィメタルが動くということだ!