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オクタン価の高い食事を

全国のバンドマンの皆さん、自炊していますか?

僕は一人暮らしをする前はすべて母親にやってもらっていたので包丁すら持ったことがない状態だった。

そんなバンドマンがついに一人暮らしを開始。


初めての料理は野菜炒めに挑戦した。

早く食べたいので野菜から焼きはじめて火力は超強火。

長ネギから出てきた大量の水で豚肉をグツグツ煮るという悲惨な野菜炒めが完成した。

「もういい!働いてお金稼いでメシを買えばいいんだ!」と思いそれから自炊をやめてコンビニ飯やスーパーの総菜を食べることにした。

ところが1週間もたたないうちに顔にニキビが大量にできた。

仕事にも身が入らない、というかいつもしんどい。

一番困ったのが食事という人間が人生で得る最高の楽しみをまったく感受しなくなったことだった。

ご飯の時間がはっきり言って苦痛。

ほぼ同じ味付けなので、食べる前から味を想像できてまったくテンションが上がらない。



体調も精神も不調な理由は、考えるまでもなく毎日食べているものが原因だった。

味が濃すぎる総菜、保存料で出来たコンビニ弁当、こんなものを食べ続けて人と交渉したり演奏できるわけがない。

さすがこれは危険と思い、それからまた不味い野菜炒めを自分で作ってみた。

やっぱり不味い。

どうやったらこんなに不味く作れるのか?と思うほどマズイ。

しかし、次の日からなぜか体調が良い。

食べる食事は不味いことは不味いが毎日やればそれなりに料理も上手くなっていくものである。

肉を焼くのは野菜よりも前にする、弱火や中火でじっくり作ることの重要性などは実践で覚えた。

しばらくすると体調が元に戻った。

精神的にも健全になっていった。

自分で作ったのだから余計なものが入っていないという安心感も手伝ったのだろう。


『空想科学読本』に書いていたことだが、人間が食べる食事はエネルギー効率がものすごく良いらしい。

プルトニウムぐらいしか効率では勝てないとか。

人間が行動するのに必要なのは根性でも友情でも愛でもない。

メシである。


毎日食べるご飯で寿命が30年変わると聞いたこともある。

これは間違いないだろう。

僕は1週間で今まで感じたことのない倦怠感に襲われたのだから。


大業を成し遂げたいのなら自炊しよう。

でないと大業を成す直前に命の灯が消えていくだろう。

面倒でも身体への貯蓄はあとで必ず生きてくる。



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