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ハイラル旅行日記(95日目)

今、手元に1枚の紙がある。手に入れたのは偶然だった、だったはず。

全く光のない月の代わりに金色の光を纏った龍が翔ると、雷鳴とともに土砂降りに見舞われる。これを凌ぐために駆け込んだ馬宿には、同じように駆け込んでくる旅人が多数いた。濡れた荷物を拭いたり、この天気がいつまで続くかを予想するように空を仰ぎ見る者がいる中、一人の旅人が人目につかぬよう紙を机に広げ真剣に見ている。と、入り口に現れた新たな人影は、姿形は旅人と変わらないが、気配が全くなかった。その人影は宿内の人々をかわし先の旅人の座る机への距離を詰めてゆく。旅人は反射的に立ち上がり反対側の出入り口に移動してゆく。
 追われている?
出口直前では追っ手があと一歩のところまで追いつきそのまま、二人とも声も発さず外に出た。自分が外を覗いた時には、土砂降りの中に赤い札が舞い消えた。

机にはその紙が残されていた。二人の動きや気配からおき忘れたとは考えにくい。馬宿の主人は少し困惑した様子でその忘れ物を手に、これを先の旅人に渡して欲しいと頼んできた。長く旅人を見ている主人は何か察するところがあるのだろう。

その紙は地図だった。ぎっしりとマークが描かれている。これまで回った事がある土地もあればまだ踏み入れた事がないところまである。あの旅人がすでにマークされたところに現れる可能性は低いと思うが他に手がかりもない。

竜とともに雷鳴が遠くなり雲の切れ目が出てきた。バナナの香りがする地図を懐に、まずこの近くに記された箇所に向かうとしよう。


ゼルダの伝説ティアーズオブザキングダム 徒然に。


街歩きがさらに楽しくなるものがあるといいな