見出し画像

契約管理システムの導入

今年の目標の一つに、「契約ライフサイクル・マネジメントシステムの導入と運用」を挙げました。1月から導入・運用しています。


鶴の一声

法務の運営には、Legal Operations Core 8 Event Reportを参照しています。ナレッジ・マネジメントの項目は、9割方、達成しました。レベル3の施策として、CLM(Contract Lifecycle Management、契約ライフサイクル・マネジメント)システムがあります。SAPのリンクを張りましたが、導入したのはSAPのシステムではありません。

私も導入したい、と思いましたが、システムの導入は、費用面でも手間の意味でも大掛かりになるので、権限が全くない者からは提案しにくいです。昨年、エライ人が、「契約締結までのステータスが一目で分かるようなシステムがあると良いですね」と仰ったことがありました。親会社がCLMシステムを導入したばかりだったので、これ幸いと、エライ人に親会社のシステムを使わせてもらうことを提案しました。親会社は、快諾して下さり、トライアル利用のメンバーにも歓迎されました。

導入障壁は何か?

親会社で導入済みのシステムなので、費用はほとんどかからず、社内手続きも省略できる、というadvantageがありました。親会社で苦労した点も教えてもらいました。

  • CLMの導入は、締結部門(事業部)にとっては、あまりメリットを感じられない。メールで行っている手続きをシステムに移すだけ??

  • 知財/法務部で管理していた、締結済みの契約書のデータを移行できなかった。

が、導入で困ったことだったようです。ということは、事業部にとっても、CLM導入のメリットがあることと、締結済み契約書のデータの移行が必要そうです。

また、業務フローが不明確だったり、ファイル管理ができていない状況で、システム導入が解決になるわけがないと思っています。別件で、コストをかけてシステムを導入したものの、業務フローがあいまいで、ほとんどシステムを使わないで従来通りに運用し、無駄になった事例もありました。

契約書データの移行

締結済み契約書を、管理部門で一元管理して、必要な契約書はすぐに提供してほしい、という要請は、締結部門からかなりあると思っています。

大きな会社だと、会社全体の契約書を一元管理するのは大変ですが、当社の規模であれば、私が一元管理することは可能です。私は、現所属のほぼ設立当初からいるので、音沙汰がないと追っかけて、必ず締結後の契約書PDFを入手し、PDFとメタデータを共有フォルダとExcelに管理することを、5年以上、続けていました。

CLMトライアル期間中に、5年で貯めた約1,000件の契約書PDFをシステムにアップロードし、メタデータを登録しました。Excelのデータを変換して、一括で読み込ませるので、1件ずつ、手入力ということはないですが、一人で1,000件のデータ移行をするのは手間ではありました。ただ、ファイルの命名規則が決まっていなかったり、データが欠損していたりすると、移行が非常に困難又はできないそうなので、1,000件を移行「した」だけでも◎

業務フロー

もう一つの課題である「業務フロー」は、導入前からフロー自体は固まっていたところ、CLMシステム導入により、一元化しました。

  • 依頼:必要事項を記載した依頼書を添付し、メールで依頼→システムの依頼フォームから依頼。なお、依頼フォームを入力しないと先に進めないため、法務担当を悩ませる、何の情報もなく「とにかくすぐにレビューして下さい」だけ言われる問題は起こらない。

  • 社内のやり取り:メール→システム。ステータス、バージョン管理、社内のやり取りの一元化。

  • 決裁:メール、ワークフロー、アプリなど、契約書や部門ごとにバラバラ→システムに一元化。

  • 締結:変更なし

  • 締結後の契約書保管:共有フォルダ+Excel→システム。

好評

システム導入への抵抗は、総じて少ないです。CLMについては、「ステータスが分かりやすくなった。検索性が向上した。(様々な文書管理の中で)契約書の管理が一番分かりやすい。契約書管理のノウハウをいかして、他の書類の管理も手伝ってほしい」等と言われます。操作に関する質問は時々ありますが、それは、マニュアル改善と情報共有のチャンスなので、当日中にマニュアルを更新して、案内しています。クレームや、システム自体を使いたくない、と言われたことはありません。CLMが事業側にとって、メリットが少ない問題は、特になかったようです。

親会社の人に、大好評です、とお礼を言ったら、「CLMは、社内から反発も多く、苦労している。抵抗がないとは羨ましい」と仰っていました。

法務側からすると、全文検索機能、期限の自動アラート発信、契約書同士の紐づけ機能、やり取りの記録が残ることが便利です。今後の維持に努めます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?