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簡単にしない、というデザイン

The push to redefine “good design” amid the Black Lives Matter movement という記事から。

In 2015, Nextdoor, the location-based social networking app, gained a reputation as a locus of racial profiling. Users were sending alerts for merely spotting hoodie-wearing Black men walking in their neighborhoods.

Nextdoorはアメリカのご近所SNS。住所が近い人と話すためのサービスで、いらない家具を売ったり、お店の情報を交換したり、犬がいなくなったから探して、とか、そんな感じのポストがFacebookのようなUIに流れている。

2015年に、このNextdoorがracial profilingの中心だという悪評が立った。Racial profilingとは取締りなどで人種を判断の条件に入れること。この人種だから犯人候補に入れておく、といった感じ。こ子ではフードのついた服を着た黒人男性が近所を歩いているだけでアラートを送ってしまう例が挙げられている。

In studying the problem, Nextdoor realized that its easy-to-use app was partly to blame.

この問題について調べるうちにNextdoorは簡単に使える(easy-to-use)アプリに一因があると気がついた。

普通に考えるとアプリが簡単であることは良いことだ。デザイナーは知恵を絞ってUIを簡単に、ユーザが考えなくても使えるようにする。

But the very features that are meant to make technology easier and faster to navigate—like shortcuts and auto-complete functions—can also encourage users to make snap judgements and put marginalized populations at risk.

でもまさにそのテクノロジーを簡単で速く操作できるようにすることが、人々が即座に決めつけを(snap judgements)行うように仕向け、主流とされない人々を危険に晒してしまう。

デザインに抵抗を取り入れる(introducing friction)ことは時として役に立つ。何かを実行する前に一息置いて考えるような仕組み。

Working closely with Nextdoor’s in-house teams, Eberhardt recommended adding a checklist for users to go through before they report an incident.

Nextdoorには社会心理学者のJennifer Eberhardtが出来事、事件を報告する前のチェックリストを加えることを提案した。Noteが最近実装したコメントでだれかを傷つけないよう、ひと呼吸いれる確認画面も同じ目的だ。

物事に抵抗を加えるデザインは、上のようなソーシャルな場面以外でも最近よく見かけるようになってきた。簡単にしすぎることの問題に人々が敏感になってきたのだろう。When Friction In Design Is Good For UXという記事にはこうした例が紹介されている。

To be clear, introducing friction doesn’t mean reverting back to the headache-inducing web interfaces of the 1990s and early 2000s

抵抗を加えることは90年代、2000年代初頭の頭の痛くなるようなWebインターフェースに戻るということではない(2000年じゃなくても政府とか銀行とか頭の痛くなるサイトはたくさんあるけど)。

Friction, when applied judiciously, is meant to bolster users’ agency over their own transactions.

うまく考えられた抵抗はユーザがテクノロジーを正しく、うまく使う助けになるのだ。


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