デザインの決定権を持っている人は大抵、デザインに無知である

デザインという仕事の認識の差

デザインという仕事をしてると、クライアントの要望を取り入れたデザイン案にも関わらず、「実際見てみたら違う感じがしたので、こっちの方向に変えて」と大幅な変更をくらっちゃうことがよくあります。これは、デザインという仕事の特徴でもあると思うんですけど、お寿司屋さんで注文して出てきた寿司を、「やっぱ気分違うからこっちに変えて」なんてしないですよね。したとしてもその分の料金は払うと思います。注文を変えた側が悪いという認識があるから。でもデザインの場合は「こっちに変えて」と言っても、考え変わったんだからデザインも変えるの当たり前でしょ的な感じがあって、その分の報酬なんて計算に入らないし何とも思われない。
実際は打ち合わせからデザイン案を作るまでの時間がかかっていてボツになったデザイン案も決してタダじゃありません。これが、デザイナー側がクライアントの意図したものと違うものを作ってしまったのなら話は別ですが(意図してなくてもクライアントの想像を超えてればOK)、そうでないなら鮪を注文したあとにサーモンに変えて、サーモンの料金しか払わないというただの食い逃げ犯です。とまぁ、これは極端な例えですけど、デザインの仕事というものに対しての認識が、デザイナーとクライアントの間では結構差があることが多いんです。

デザイナーとして、どの姿勢を貫くか

この差は正直埋まることはないと思います。そういったクライアントはデザインに対していつまで経っても無知だし、いつまで経ってもリスペクトしてくれません笑
2018年に経済産業省と特許庁が発表した「デザイン経営」という政策提言が4年近く経った今でも知っている企業がほとんど無いというのが、世の中がいかにデザインに対して無知かを物語っていると思います。
そんな状況の中、我々デザイナーがやるべきことは、デザイナーとしてどういった姿勢でいるか?だと思います。
「考えが変わったからこっちに変えて」と言われて「よろこんで!」とクライアントの言うことを忠実に再現するデザイナーか、「それはちょっと違うと思うので変えるならこっちの方向で」とクライアントにとって良いと思うことを考えてやれるデザイナーか、はたまた「それだったらもうやりません」と自分の信念を曲げないデザイナーか。
これはどれが正しいというわけではなく、どれもデザイナーとしてあるべき姿だと思います。ただ、デザイナーとしてのタイプが違うと言うだけで。しかしながら、先ほどの「デザイン経営」宣言というものがあるように、時代が求めているデザイナーはおそらく「よろこんで!」のデザイナーではなく、ブランディングのように、クライアントの理念の部分から携わっていけるデザイナーだとは思います。
先日、私はとあるお仕事の依頼で、同じようにデザイン案を提案したあと「ちょっと内部事情が変わって、こういう形でやっていただきたいのですが」という話があったあと、その仕事をその場で断りました笑。そんな姿勢でやっております。

というわけで今日は、デザインの決定権を持っている人は大抵、デザインに無知である。というテーマでお話しさせていただきました。

ブランド・プランナー 採用ブランディング認定ディレクター 下野

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?