違法逮捕と勾留

おはようございます。今日は今年の予備論文刑訴法でも出題された違法逮捕と勾留について書いていきたいと思います。

現行刑訴法は、いわゆる逮捕前置主義(刑訴207条1項参照)をとり、逮捕の先行しない勾留を認めていません。そしてここで前置されるべき逮捕は適法であることが当然の前提ですから、逮捕が違法であった場合には、勾留請求は却下されるべきように思われます。

しかし、逮捕が違法であると言ってもその程度には幅があり、どのような違法であっても勾留が許されないとするのは真実発見や捜査便宜の観点から妥当ではありません。そこで周知のとおり判例は、逮捕に重大な違法がある場合にのみ、勾留は違法となるとしています(東京高裁S54.8.14)。
以下では、どのような論理によってこの結論が導かれるか、この結論から具体的にはどのような解決が導かれるか、を見ていきたいと思います。

これらを考えていく上では、まず207条(および前3条)が、なぜ逮捕前置主義を採用したのかを考える必要があります。これについては、逮捕による身柄拘束が72時間であり、勾留が認められるとさらに最大20日間の拘束が認められるという刑訴法の制度上、次のように解するのが素直かと思います。すなわち

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