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映像制作会社社員が見た「バーチャルスタジオ業務」

おはようございます!テレビ朝日映像という制作会社で働いています、鈴木拓郎〈スズキタクロウ〉です。
先日会社の近くに「なか卯」があると知り、それ以来通いまくっています。
24時間営業にめちゃくちゃ助けられている入社2年目です。


さて今回は、テレビ朝日映像が行っている「バーチャルスタジオ業務」がテーマです。

メディアの在り方が急速に多様化し、配信を介した放送も半ば当たり前のように浸透している昨今、バーチャルスタジオがどう機能し、どのくらいの可能性を持つかを知ることは、映像制作者にとって、+αなどではなく、もはや不可欠だと言えるのかもしれません。
今回は、当社地下1階にあるバーチャルスタジオを例に、普段どんなことが行われているのか、はたまたどんなことができるのか、私が携わった案件を抜粋しながら紹介したいと思います。

【テレビ朝日映像のバーチャルスタジオとは?】


その前にまずは、簡単にバーチャルスタジオについて述べるところから出発しましょう。

テレビ朝日映像のバーチャルスタジオ

テレビ朝日映像は、2021年に最新鋭のバーチャルスタジオを設立しました。
全面グリーンバック仕様、最新の技術と背景CGを駆使することで、様々なシチュエーションに対応した多種多様なセットを生み出すことが可能です。

ニューススタジオのCG

例えばこのようなニューススタジオ。
いくつかの技術とCGを組み合わせれば、テレビでよく見る3次元のスタジオさながらの雰囲気の中で、それ以上のスピード感や臨場感を簡単に演出することができます。

先日は小学生を招待してこのニューススタジオの中で「お仕事体験」を行い、大変好評をいただきました。


このような、いわゆる「テレビセットの再現」もさることながら、バーチャルスタジオの秘めたる可能性はもちろんそれだけではありません。


【バーチャルスタジオで日々行われる業務】


案件1 バーチャルスタジオから全国へ!全国同時生配信


先日、とある企業様からの依頼を受け、
北海道から九州まで全国18ヶ所の営業所と映像を繋いで行う、一年に一度の成績報告会のような一大イベントを当社のバーチャルスタジオから発信しました。

今回は、テレビ朝日からの景色が一望できる白いセットや、発表に相応しい華やかで荘厳なセットを用意。バーチャルスタジオなので、全てボタン一つであっという間に切り替わり、当たり前ですが移動も設営も特に必要ないという最強コスパです。

さらに、目玉として行なったのが、ZOOMを使った全国同時生中継。

全ての社員の顔を常に見ながら、時にはスタジオからインタビューだって繋ぎたい、そんな要望もバーチャルスタジオなら難しくありません。
スタジオの機能を存分に活かしきった配信は、長丁場にもかかわらず無事成功を納め、大変に満足をいただきました。

zoom画面をマルチモニターに出せます


案件2 トークや音楽など盛りだくさん!レギュラー番組撮影


当社のバーチャルスタジオでは、いくつかの配信レギュラー番組の撮影も定期的に行われています。

とあるトーク番組で使用しているのは、8枚の画像を表示できる背景CG。これを使うことで、1枚1枚余計なフリップ制作に時間やコストを取られなかったり、スタジオにいる全員が同じように画像を見ながらトークに花を咲かせることができたり、そのきっかけが増えたりします。
細かいことですが、例えばこうしたちょっとした技術が導入されるだけで、番組の作りやすさは大きく変わるものです。

さらにとある番組では、毎回アーティストの方を招いて行う歌唱コーナーなどもあります。背景がCGだと、あまり動いてはいけない!トーク番組くらいしかできない!というイメージがあるでしょうか。
そんなことは一切なく、アーティストさんが身振り手振りで熱を込めて歌う様子も、背景CGとともに毎回グルーブ感たっぷりに演出・配信しています。

最後に一つ。トークも歌も扱えるだけでなく、それぞれの番組ごとにセットを作る手間が一切ないのはやはり、バーチャルスタジオの強みと言えるでしょう。

案件3 演出の可能性は無限大!web動画撮影


当社ではバーチャルスタジオのみの貸し出しも行っています。
「セットはCGがいいけど撮影チームは必要ない」
「ディレクションはこっちでいつものやり方で行いたい」
そんな場合にももちろん対応しており、先日行われたweb動画撮影では、とある撮影チームがこの方式でバーチャルスタジオを使用しました。

六角形のオリジナルの照明を天井に配置

撮影が順調に進む様子を見ながら個人的に驚いたのは、今回のクライアント様は、写真のようにチーム独自の照明を持ち込み、スタジオをある種カスタムしていたこと。
バーチャルスタジオがどんなものか、どのくらい自由に使えるかを知っているからこそ、その機能を活かしつつ、そこからどうオリジナリティを持ってはみ出せるかもわかっている、そんな印象を覚えました。知ることはやはり大切です。

当社が誇るセットやCGにもまだたくさんの可能性が内在しています。
様々な企業様がもっとラフに柔軟にスタジオを使用することで、見えてくる新しい可能性もあるのかもしれないと思いました。


【バーチャルスタジオ業務の中で感じること】


特殊メイクアーティスト Amazing JIRO氏デザインのエントランス


先日上司から、バーチャルスタジオでは「ホテルマンのように」振る舞うべきだということを教わりました。


考えてみればこのスタジオでは常に、他業種の企業様でありクライアントでありお客様を直接相手にしています。最新鋭の技術があり、CGがあり、実績と自信があるからと言って、安心も慢心もしてはいけないと改めて身が引き締まりました。

スタジオは綺麗に保たれているか、振る舞いはどうか、ホスピタリティはあるか。
ある種当たり前の礼儀にもう一度目を配り、気を配り、あちらこちらに転がっている注意すべき点一つ一つのことを思えるか、それを意識し続けることがもう一つ、バーチャルスタジオ運営に携わっているものの責任としてあるのだと感じました。

配信業務というのは、スタジオの中だけで、はたまたボタンの操作だけで完結するものではない、ということです。

配信が隆盛しているこの時代。
カメラだけを持ち続けていた撮影スタッフが配信を覚え、テレビのスタジオで動き回っていた制作スタッフがCG編集を覚え、どんどん新しいことに向き合う努力が必要になっています。それは、特にキャリアを積めば積むほど億劫で辛いことですが、同時に大きな可能性や楽しさを孕んでいるとも思います。
バーチャルスタジオが持つ可能性や技術はやはり率直に確かなもので、凄いもので、たくさんの企業の方々がその活用によって喜ぶ姿を間近で見てきました。

こうしたnoteでの発信が、こうした技術を知る、そしてアクセスするための一助になればと思います。

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