見出し画像

ファンシー絵みやげ研究家・山下メロが『仮面ノリダー』グッズの謎に迫る!

1980年代〜1990年代に日本各地で販売されていた〝ファンシー絵みやげ〟を保護活動し続けている山下メロさん。奇しくも時を同じくして大流行したタレントショップでも、ファンシータッチなタレントグッズがたくさん売られていて、こういったアイテムもメロさんの保護対象。調査を進めていくうちに導き出された、懐かしのあのキャラクターグッズの謎とは……?

文/山下メロ

やましためろ●平成文化研究家。平成レトロとして、バブル~平成初期の庶民風俗を研究。中でも80年代~90年代に日本中の観光地で売られていた子ども向けの雑貨みやげ=「ファンシー絵みやげ」を収集・研究している。訪問した土産店は4000店を超え、所有するファンシー絵みやげは17000種超。著書に『ファンシー絵みやげ大百科 忘れられたバブル時代の観光地みやげ』(イースト・プレス刊)がある。
Twitter:@inchorin

仮面ノリダーをご存知ですか?

莉ョ髱「繝弱Μ繝�繝シ繝舌ャ繧ク

『仮面ノリダー』とは、フジテレビ系列のバラエティー番組『とんねるずのみなさんのおかげです』の中で、1988年から1990年に放送されていた人気コーナー。

一目で分かるように『仮面ライダー』をパロディーにしており、本郷猛ならぬ木梨猛(とんねるず・木梨憲武)が、正義のヒーロー『仮面ノリダー』に変身し、ショッカーならぬジョッカーの人造人間(とんねるず・石橋貴明)と戦う特撮ヒーローコントでした。

ちょうどその時代は6年ぶりのTVシリーズとなる『仮面ライダーBLACK』(1987年)、続いて『仮面ライダーBLACK RX』(1988年)が放映されていましたが、内容は『仮面ライダー』(1971年)に近く、その世代をターゲットにしたコントだったのでしょう。しかし、初代の仮面ライダーを知らないどころか、仮面ライダーなき6年間に育った子どもたちも夢中になりました。

私もまだ小学生でしたが、仮面ノリダーが楽しみで毎週番組をビデオに録画していました。VHSビデオのラベルには番組名ではなく「仮面ノリダー」と書いていたほどです。


タレントショップ文化ととんねるずグッズの思い出

『仮面ノリダー』を放送していた時期は、昭和が終わり平成が始まった時期であり、まさにバブル絶頂期。
原宿の竹下通り周辺には、山田邦子さんの「KUNY」、田代まさしさんの「MARCY’S」など芸能人のイラスト入りグッズを扱うタレントショップが次々と開店していた頃でした。

タレントグッズ一例

▲タレントグッズの一例

当時の「ファンシーショップ」と呼ばれた店では、サンリオサンエックスの文房具やオシャレアイテムなど、キャラクター商品を販売していました。さらに日本全国の観光地で売られていた、二頭身の偉人や擬人化された動物のイラストをプリントしていた雑貨みやげ「ファンシー絵みやげ」。

これらの商品の特徴は、単純化した1つのイラストを色々なアイテムにプリントして販売することです。

タレントショップでも同じように、タレントの写真の印刷ではなく、タレントをキャラクターイラスト化してたくさんの商品を作るという方法がとられていました。
坂本龍馬の肖像画からファンシーキャラクターが作られたように、タレントがファンシーグッズになったのです。

ファンシーアイテム

▲左/ファンシーグッズ、右/ファンシー絵みやげ

とんねるずも、石橋貴明さんがメインで「C’est chic ca(セシカ)」というショップを1987年頃に開店しましたが、タレント色のないアパレルが中心で雑貨が少なく、あまり子どもが行くタイプのお店ではありませんでした。

画像4

▲セシカでも少しだけキャラクターグッズが

その後「バレンタインハウス」という雑貨中心のショップを開店。こちらはキャラクターを使わない大人向けのオシャレな雑貨から、子ども向けのキャラクターものまで品揃えも豊富でした。

とんねるずグッズが欲しすぎて、上京する機会があれば原宿でバレンタインハウスに行きたいと思っていた私は、東京への家族旅行の際に竹下通りに行くことを熱望しました。そこはキラキラした夢のような場所。気がつけばたくさん買い物をしていました。
一部の観光地にはタレントショップが進出していたものの、基本的に地方で買うことができないタレントグッズを持っているのは、地方在住の子どもにとっては一種のステータス。あえて学校でアピールができるとんねるずの下敷きなど、文房具を中心に購入し、大好きな仮面ノリダーのグッズもいくつか買ったのでした。

左/バレンタイン

▲左/とんねるずのコップ、右/ノリダーの缶バッヂ

しかし、この時は子どもだったので、まだ何も事情を知りませんでした。
実はこのノリダーのグッズには、ある事実が隠されていたのです。

ここから先は

2,129字 / 6画像
「TV Bros. note版」は、月額500円で最新のコンテンツ読み放題。さらに2020年5月以降の過去記事もアーカイブ配信中(※一部記事はアーカイブされない可能性があります)。独自の視点でとらえる特集はもちろん、本誌でおなじみの豪華連載陣のコラムに、テレビ・ラジオ・映画・音楽・アニメ・コミック・書籍……有名無名にかかわらず、数あるカルチャーを勝手な切り口でご紹介!

TV Bros.note版

¥500 / 月 初月無料

新規登録で初月無料!(キャリア決済を除く)】 テレビ雑誌「TV Bros.」の豪華連載陣によるコラムや様々な特集、テレビ、音楽、映画のレビ…

TV Bros.note版では毎月40以上のコラム、レビューを更新中!入会初月は無料です。(※キャリア決済は除く)