【無料記事】 TV Bros.総集編特大号 「ブロスは何を取り上げてきたのか?」 編集部員・土館弘英 セレクト
※この記事は現在発売中の『TV Bros.6月号 総集編特大号』で掲載している記事を転載したものです。
TVBros.編集部員
土館弘英 セレクト
’08年より編集部に在籍。担当連載は「地平線の相談」「岡村靖幸」「大森靖子」「掟ポルシェ」「おおひなたごう」「コミック欄(月刊化前は音楽欄も)」など。
前略 お袋さま~包み込むその愛に感謝して~
(2009年11月28日号)
いつも世話になってるのに、無下に扱ってしまう…まさに“おふくろ”のような、そんな紙袋へ…感謝を伝えたい。ありがとう! お袋! という導入から始まるオリジナル企画(モノクロ6P)。’18年に『マツコの知らない世界』でも紙袋を取り扱ってましたが中々、注目するのが早かったのでは?
特集内容として、まず紙袋といえばCOWCOWの多田さんだ! と、あの“伊勢丹スーツ”について直撃取材!! 後に多田さんが「なぜか紙袋の特集で呼ばれた」と番組で話されているのを拝見し、覚えてくれてて嬉しいなーと思ったり。
続いて「池袋で紙袋の歴史を訊く」と題し、池袋に本社を構えるスーパーバッグ株式会社へ、紙袋の歴史と展望を伺うアカデミックな切り口も。
紙袋にもTPOが必要! と提言する企画も。葬式に「ドクロ柄にHAPPY」と書かれた紙袋、授業参観に「黄桜のカッパ」が描かれた紙袋など、袋一つで台無しになる悪い例を多数紹介した。
持ち紙袋調査なんてミニコーナーも。そうそうこのために寒空の下、1日中、街行く人の紙袋をガン見してたなー(ほとんど不審者)。
「PlayBag my life~紙袋だよ人生は~」と題した企画では《これは、いつまでも紙袋を捨てられない、ある男の人生を振り返る物語である――》と、フィクションながら、いよいよ紙袋で人生を振り返った。企画のために、部員・知人から紙袋をかき集め、編集部には一時、紙袋の山が出来ていた。
ラストは「ビックカメラの紙袋パロディ」。ズラっと並べられたメーカー名の部分に、「鉄道路線」「工業地帯名」「懐かしの助っ人外国人(プロ野球)」をデザイン。実際に作れる“ふろくふくろ”として付けた。
6Pにどんだけ企画つめるんだよ! と思うが、当時は「思いついたら入れてみる」は割と普通で。部員同士でいかに下らない小ネタが入れられるかを競い合っていたと思う。
最後に、本特集の企画・執筆に参加してくれた、やきそばかおる氏(こういう珍特集で、よくご一緒しましたねー)に感謝を。
HEAVY METAL大特集
(2009年10月31日号)
TV誌の表紙にメタルゴッドが降臨!! 本誌初となったヘヴィーメタル特集。
キッカケは、レコード会社の宣伝担当に「ブロスらしくないかもですが…」と、渡されたメタル作品の資料に対し、「そんなことないですよ! 大好物ですよ!」と大熱弁をふるったことだったと思う。後日、そこまで好きならと、ジューダス・プリースト取材(単独1時間)の話が届く→企画提案→面白そうだから表紙込みでやろう! と即決定。
ただの個人的な「好き」からどんどん話がでかくなり、嬉しさ半分、不安半分。取材・執筆は、個人サイト「とみぃの宮殿」(現:TMQ-WEB)のメタル記事を読みながら、いつかご一緒したいと思っていた西廣智一氏に依頼した(その後のメタル特集含め、お世話になりました!)。
取材当日は、いても立ってもいられず、予定の4時間前に現地入り。ホテルオークラ(@虎ノ門)の一室に、ロブ、グレン、K.K.の3人がバッキバキの衣装で入ってきたときは、あまりの格好良さと現実感の無さに思わず笑ってしまった。
3人での表紙撮影後は、リラックスした衣装に着替えたロブのソロ取材。話しながらどんどんと夢中に、前のめりになっていくロブが、西廣氏と膝を付け合わせ、超至近距離(今でいう濃厚接触)で話をする姿に、これまた笑いをこらえながら過ごしたのだった。
同号掲載のANVIL取材も忘れられないし(いまだに渋谷のスクランブル交差点を通ると、あの映画のワンシーンを思い出す)、元TOY’S FACTORY宮本さん(現:トゥルーパー・エンタテインメント)との出会いが、後のメタル企画「Bill Steer×掟ポルシェ対談(’12年)」、「CARCASS×掟ポルシェ対談(’13年)」に繋がっていくのも感慨深い。
リードとか自分の書いたところを読み返すと、好き!好き!が前に出過ぎて、無邪気過ぎるなーという一面もあり、今やったらまた違う感じで出来るかなーと思いますが、そこら辺の淡い感じを含めて個人的に忘れられん特集です。
▲翌’10年にはOzzy Osbourneを表紙にしたメタル特集【第2弾】も。嬉々として日本のカレーの魅力を語るオジーが最高にキュートでした。
岡村靖幸「幸福」発売記念特集
(2016年1月30日号)
本誌連載『あの娘と、遅刻と、勉強と』が’11年スタート。連載開始からおよそ5年、キャリアとして約11年ぶりとなる待望のニューアルバム『幸福』がリリースするぞと。こりゃもう全力かつ特別に祝うしかないぞと、構成を担当する前田隆弘氏と気合満々々々で取り組んだ特集。
表紙&中面の撮影は都内の古民家スタジオにて、カメラマンは連載初期に対談もした川島小鳥氏が担当。すでに深い間柄というのもあり、エエ写真がバンバンと撮れていく。小鳥氏から「ちょっと台所の窓から顔を出してください」と驚くオーダーが飛び出るが、サッと対応する岡村氏。その撮られた写真がめちゃめちゃ良すぎて、好きすぎて、現在連載のプロフ写真にも使用している。撮影後、ちっこい掘りごたつで、きゅうきゅうになりながらお話を伺ったのも良い思い出です。
コメントや作品レビューは誰にお願いしようか? 話を進めていく中、前述の紙袋特集しかり、メタル特集しかり「今までやったことない」切り口で何か出来ないか? という起点で思いついたのが、連載陣の皆さんに「(自身の考える)幸福」をテーマに書いてもらい、1冊丸ごと「幸福」号としてお祝いしよう!という企画だったのです。めちゃ大変そう…でも思いついてしまったら仕方がない。各ページ担当に依頼し、皆さんの連携・協力があって、あの『幸福』号は出来上がりました。
がっつりコラム内で幸福論を展開する方、近況欄で慎ましくお祝いする方。慣れ親しんだ誌面ですが、なんだろ、ワンテーマにすることでまた別の表情が見えて。書き手の皆さんを惚れ直しました。当時連載していた、石井モタコ氏が「幸福」号に寄せたコラムをきっかけに結婚したって後日談も、自分のことのように嬉しかった。まさに幸福!! っていう。
惜しむらくは、定期刊行終了で、今年4月発売の『操』の特集が出来なかったこと! 操だったらどんな特集が出来たかなーと、今も外出自粛しながら妄想している。
(了)
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