ブカブカの服を見て
春ですね
この季節
少し大きめの服を着て街を歩く人が目立ちます
それが学生さんの制服だったりすると
なんだか微笑ましいです
私は落語家です
入門して8年目
まだまだ若手です
落語のネタは師匠に稽古で教えてもらいます
我々の言い方では
「稽古をつけてもらう」と言います
目の前で師匠がするのを
見て、聞いて
その場で覚えていくのが昔からの慣わしです
メモも取らず
20分ほどあるネタを
その場で丸暗記するなんて初めは
「絶対にムリ」
と思っていましたが
何遍も稽古をしていくと
身に着いていくから不思議です
見よう見真似 という言葉が
ピッタリ当てはまる覚えたての落語を
今度はお客様の前ですることになります
ネタの初演を
「ネタおろし」といいます
師匠にも言われましたが
不思議と「ネタおろし」は
お客様に笑って頂けることがあります
理由は分かりませんが
師匠曰く
習ったことを一生懸命にやってるのが
お客様に伝わっている と
その通りだと思いますが
不思議と本人は次もその次も
習ったとおり一生懸命にやってたりするので
ウケなくなると
頭の中に「?」が浮かんでしまいます
2年前に
師匠に「紙入れ」というネタを
つけて頂きました
師匠も高座でよくおかけになるので
普段から何度も見ていたはずですが
稽古は私の不出来のせいで
そう簡単にはいきませんでした
一応、高座にかけても良しと
お許しが出たので
自分の勉強会などでかけさせてもらってます
やるたびに
「あれ? なんかおかしくなってるのかな?」
と思うことばかり
師匠が肝としたところで
どうしてもウケない
未熟なんで当たり前といえば
当たり前なんですが
でも「落語に罪はなし」
ちゃんと出来てればウケるはずなんです
試行錯誤して2年
昨日、
ライブハウスで落語をさせて頂いたんですが
ようやく
手ごたえの尻尾みたいなようなものが
見えた気がしました
(錯覚でありませんように🙏)
配信でもご覧頂いていたので
映像を撮って下さってました
後で見直してみても
マズイ点はいくつもありましたが
稽古で言われたところが
ちゃんと伝わってる感じがしました
ここからまた試行錯誤が始まって
3歩進んで2歩下がるような高座が
続くんだと思いますが
とにかく嬉しくて
自分の落語を何度も見返しました
(普段は見ません、というか見れません)
師匠から頂いたネタが
まるで
初めはブカブカで身の丈に合ってなかった服が
ようやく少し身体に馴染んだような気がしてます
きっと師匠が
少し大きめに「ネタ」を仕込んで下さったのだと
思います
まだまだ自分のものにはなってませんが
少し明るい気持ちで高座に掛けれるネタに
なりそうなので高座にどんどん掛けて
お客さんと一緒にこのネタを自分の「寸」に合う
ものにしたいと思います
どうか私の紙入れに出くわした際には
ピカピカの制服を纏った学生さんを見る目で
応援してくださいませ
もちろん
まだまだなので厳しめ
(本当は優しくしてほしい)に
見ていただけたら幸いです
磨くぞー
このネタ!!
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