もうすぐ



ウサギの男の子が、おばあちゃんとお出かけ。


歩いていくと、畑しごとをしていた、チャボさんに会いました。

チャボさんは男の子を見て、「やあ、ぼうや、大きくなりましたね。」と、言いました。

「ええ、らいげつ、4さいになるんです。」と、おばあちゃん。

「そりゃあ、もうすぐだ、楽しみだね。」と、チャボさんが言いました。


「おばあちゃん、ぼく、もうすぐ4さいになるの?」男の子が聞きました。

「ええ、そうよ。」




ウサギの男の子が、お父さんとお出かけ。


歩いていくと、自転車にのっている、イヌさんに会いました。

イヌさんは男の子とお父さんを見ると、「やあ、しばらく見ないうちに、大きくなったね。」自転車をとめて、言いました。

「はい、らいしゅう、4さいになるんです。」と、お父さん。

「ああ、もうすぐ、お兄ちゃんだな。」イヌさんは、にっこり笑うと、また、自転車に乗って行ってしまいました。


「お父さん、ぼく、もうすぐ4さいになるの?」男の子が聞きました。

「ああ、そうだよ。」




ウサギの男の子が、お母さんとおでかけ。


歩いていくと、赤ちゃんをつれている、ヒツジさんに会いました。

ヒツジさんは男の子を見て、「すっかりお兄ちゃんになりましたね。」と、ベビーカーをゆらしながら、言いました。

「そう、明日で4さいになるんです。」と、お母さん。

「まあ、おめでとう、明日がおたんじょうびなのね!」ヒツジさんは、ベビーカーをおしながら、言ってしまいました。


「お母さん、ぼく、もうすぐ4さいになるの?」男の子が聞きました。

「そう、あしたよ!」



お家に帰ると、おじいちゃんが、庭のプラムの木にはしごをかけて、赤い実を取っているところでした。

「ねえ、おじいちゃん、みんな、”もうすぐ”、って言うんだけど、ぼく、ちっとも4さいにならないよ。どうして?」

「そうだな、この赤い実はもう食べられる、こっちは、まだまだ、青いな。それで、ほら、この実は、”もうすぐ”だ。わかるだろう?」

「ぼくは、半分青くて、半分赤いってこと?」男の子が聞きました。

「そうさな、お天道様が、なんとかしてくれる、ってことさ。」おじいちゃんは、いちばん、うれて、あまそうなプラムを、男の子にくれました。


そのばん、男の子は、おひさまといっしょに、庭のプラムを、赤い絵の具でそめていく、夢を見ました。

朝になったら、”もうすぐ”は、おしまいです。


『おたんじょうび おめでとう!!』








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