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2021年北海道高校入試について

2021年の北海道の公立高校入試は、コロナ禍の影響により大きな変動があります。
例年との最大の違いは試験範囲の縮小です。
コロナの影響により、学校での授業数が減少し、生徒が学習する時間が削られてしまったという事情により、試験範囲が少なくなったのです。</p>

2021年実施の北海道公立高校入試にどのような変化があるのでしょうか。

1.試験範囲の縮小について

まず、北海道教育委員会が2020年(令和2年)7月に発表した、2021年(令和3年)の公立高校入試における出題範囲に関して発表した文書を見てみましょう。

北海道高校入試範囲変更

まず、文書を一読してわかるのが、すべての科目において範囲が縮小しているということです。

特に数学と英語においてはかなり大きな変更といえるでしょう。
というのも、数学と英語で除外された範囲は中学校の学習範囲の中でも特に重要かつ難度が高い単元で、なおかつ高校での授業でもこれらの単元の内容がかなり反映されるためです。

つまり、入試においてこれらの範囲が出題されないということは、入試自体の難易度は易しく勉強しやすいものになるかもしれないが、平均点の上昇が考えられること、またこれらの学習がおろそかになってしまうために高校の授業にかなり壁を感じてしまうという可能性があるのです。

理科についても除外された範囲はかなり大きなものです。いずれも3年生の半ばから後半にかけて学習する内容ですが、「力学的エネルギー」「地球と宇宙」という単元は難しい問題が出ることも多く、不得意な人も多い単元です。
理科はもともと入試においてどの単元が出題されるかは決まっていないのですが、これらの単元が除外されたということはかなり勉強する範囲が狭くなったように感じられます。

逆に、最も今回の試験範囲の除外の影響が少ないのは国語であるといえます。
漢字というのはそもそもそれほど多く出題されませんし、3年生で学ぶ範囲が出題されないというのは単純に内容が簡単になるといってもよいでしょう。
また国語の試験における読解問題や記述・作文問題はあまり学年は関係ない部分もあるので、例年の問題に比べて変化は少ないといって間違いありません。

また社会の除外範囲ですが、中学校3年生の終わりごろに学習する範囲で試験に出ることも多くなく、配点が少ないことも多いので、こちらも例年に比べてあまり影響がないといえるでしょう。

それでは、2021年の試験において最も変化が大きい数学と英語について考察していきたいと思います。

2.数学の試験について


2021年の北海道公立高校入試において、試験範囲変更の影響がとても大きいのが数学です。

改めて除外された範囲を確認すると、

・相似な図形
・円周角の定理
・三平方の定理
・標本調査

このうち標本調査は難易度的には難しい問題が出ることは少なく、頻度も多くはないためあまり目を引きませんが、相似な図形、円周角の定理、三平方の定理が出題されないというのはかなり大きなインパクトです。

何しろ、中学校で学ぶ数学の代名詞ともいえるような単元で、この三つの単元を絡めた問題は北海道公立高校入試において極めて出題頻度が高く、また難しい問題になりがちです。
北海道の高校入試に特徴的な裁量問題においても頻出の単元です。

これら三つの単元は1年生、2年生で学んだ内容をベースにさらに発展的な知識と理解が求められるため、名実ともに中学校数学の集大成といえるでしょう。

これらの単元が試験範囲から除外されたということは、受験生にとって、勉強がやりやすくなるということが考えられます。

しかし、注意しなくてはならないことがあります。

もう一つ中学数学の集大成と言える単元があり、それは2次関数です。
除外された三つの単元は図形の問題となりますが、こちらは関数・方程式の問題となり、これも中学校1年生、2年生で学んだ学習を下敷きに発展していく内容です。

この2次関数という単元はまた、除外された三つの単元とも組み合わせて問題が作られることもあり、その場合は裁量問題の最後という最高難度の問題となることが多いのです。

こうした問題が出ないということは、この2次関数を中心にこれまでより難しい問題、例えば関数の深い理解や引き出しが求められる問題や、相似以外の図形問題と組み合わせての問題など、例年より2次関数の問題が難化することが考えられます。
さらに一般的に受験生が苦手とする数の性質や確率、方程式の問題が難化するのではないかと私は思います。

他の単元をぐっと難しくせざるを得ないほど、これら三つの単元の範囲除外は大きいのです。

高校の学習への影響


高校の学習範囲は当然ながら、中学校の学習内容がベースとなります。それも入試を終えているため、一通りの内容がある程度理解できているという前提で授業が進んでいくので新入生はびっくりすることが多いです。
さて除外された三つの単元ですが、先ほど載せた北海道教育委員会のお知らせによると中学校のうちに学習だけは行い、入試には出さないということです。

つまり、高校ではこれらの単元の勉強も済んでいるという前提で学習が進んでいく可能性があります。
高校でも補習を行うことも考えられますが、裁量問題を採用している進学校ではどんどん授業が進んでいくことが考えられます。

進学校の場合では、これら三つの単元が絡む授業は早ければ1年生の中盤から後半にかけて行われると思います。

入試が終わったとしても、中学校で学習が不足しているこれらの単元についてはしっかりと学習をしていく必要があるでしょう。

3.英語について


2021年の北海道公立高校入試においてもう一つ、試験範囲変更の影響がとても大きいのが英語です。

除外された範囲は「関係代名詞」と「後置修飾」のという文法単元です。

この二つの文法は、中学校でも最難関の文法表現であると断言します。
なぜなら、英語における語句の並べ方や動詞の分詞の使い方など、英語を学ぶ上で極めて重要な考え方を習得できているか、理解できているかが問われるからです。

関係代名詞と後置修飾を使わない英語はどのようなものか。
例えばこのような日本語の文章があります。

「私はあそこに立っている女の子を知っています。」

この文章は、次回の高校入試で除外される二つの文法を使った英語で表現することが出来ます。

「I know the girl standing over there.」(後置修飾)
または
「I know the girl who stands over there.」(関係代名詞)

さて、この文章は実は二つに分割することが出来ます。
英語で分割すると、

「I know the girl.」「The girl(She)stands over there.」
となります。

ではこれを日本語にしてみましょう。

「私はその女の子を知っています。」「その女の子(彼女)はあそこに立っています。」

少々強引な訳ですが、日本語ではこのようになります。

後置修飾または関係代名詞を使わないと、このようになんだかもったいぶった、文によっては幼稚に思えるような表現になってしまうのです。

ある程度、高等な英語表現を行おうと思った場合、後置修飾と関係代名詞は絶対に必要な知識です。

この文法は高校でも学習しますが、高校においても難しい英文法の一つです。
なぜならただ覚えるだけでなく、頭で理解しなければ使いこなせないからです。

これらの文法は、例年では語順整序(並べ替え)の問題や、長文読解のなかで日本語に訳す問題で多く出題されます。
これらの勉強が必要なくなるということは、単純に英語の勉強が楽になることを意味します。

しかし、重要な懸念があります。

それは、設問で問われないだけで長文の中には登場するかもしれないという可能性です。

つまり、日本語訳にしたり、並べ替え問題に出題されないとしても長文の中にこれらの文法表現が登場し、その文章の内容をある程度つかめていないと、長文全体の内容がわかりにくくなるかもしれないということです。

北海道教育委員会から提示された文書だけではこのあたりの判断はしにくく、断言が出来ないのが現状です。

高校に備えるという意味からも、除外された範囲も学習が必要である。
これまで述べたように、英語に関しては後置修飾と関係代名詞が除外されたとはいえ、長文の中に出てくる可能性も捨てきれず、また高校の英語にはとても高い頻度で登場する文法です。
高校英語においてもこれらの文法は難しい単元であり、大学入試でも頻繁に問われる文法です。

これらのことを踏まえ、2021年の北海道公立高校入試の範囲からは除外されているものの、出来るだけ入念に勉強する必要があります。
実際に受験勉強する際も、こうした入試対策には過去問題をやりこむことが基本にして最も有効ですが、その過去問を解くにしてもこれらの文法の理解は必要不可欠です。

4.まとめ


2021年の入試は北海道公立高校だけでなく、すべての学校で今までにない変化があります。

学校の先生はもとより塾や家庭教師、保護者の方もいろいろと情報収集に励んでいます。

今回、北海道公立高校入試に絞って考察をしていきましたが、2021年の入試が終わった後、つまり進学した後ですが、まだ学業には困難が付きまとうことでしょう。

現代において類を見ないこの度の新型コロナウイルスによる騒動ですが、いまだ終息の気配はなく、混乱は続いています。

このような年に入試を迎える受験生の皆さん、保護者の方々は本当に不運で、大変な思いをしているかと思います。

教育業界に身を置いている者として、この記事が少しでも皆様の力添えになれれば幸いです。


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