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【詩の森】497 パリ不戦条約と憲法9条

パリ不戦条約と憲法9条
 
1928年
第一次世界大戦への反省から
フランスの提案でパリ不戦条約が結ばれました
締結したのは
当時先進国と呼ばれていた
アメリカ・フランス・イギリス・ドイツ
イタリア・日本など15か国でした
この条約は不完全ながらも
それまで国家間の決闘と考えられた戦争観を
真っ向から否定する画期的なものでした
国際協調のもとになったとも
いわれています
 
その第一条には
締約國ハ国際紛爭解決ノ爲
戦爭ニ訴フルコトヲ非トシ
且其ノ相互關係ニ於テ
國家ノ政策ノ手段トシテノ戦爭ヲ放棄スルコトヲ
其ノ各自ノ人民ノ名ニ於テ厳粛ニ宣言スとあります
この文言に見覚えはありませんか
これが日本国憲法第9条の
モデルだといわれています
1947年の憲法制定の20年ほど前に
日本はこの条約を批准していたのです
 
迂闊なことに僕はこの事実を
井上ひさしさんが9条の会に寄せたメッセージで
初めて知りました
彼はいいます
憲法は主権者である私たちが
時の政府、時の権力に対して発する
命令であると―――
楾大樹さんが
『檻の中のライオン』の中で
権力をライオンと呼び
憲法を檻と呼んでいるのも
結局は同じことでしょう
 
井上さんはさらに
これはアメリカの押し付けでもなんでもありません。
人間が一生懸命生きながら、
血みどろにいろんなものを獲得してきたわけですが、
その結晶がパリ不戦条約になり、
それを日本国憲法が受け継いでいる。
と述べています
このような事実を
僕らはもっと共有すべきではないでしょうか
僕らが語り継がなければ
時の権力が歴史の片隅へ葬りかねない
不都合な事実の一つなのですから―――
 

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