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【詩の森】686 今ここにある永遠

今ここにある永遠
 
僕は僕らなのか
確かめたことはないけれど
少なくとも僕には
時間を記憶することが
できないようだ
 
中学を出て55年
定年退職して10年
10年も55年も
僕には一瞬のことのように
思えてならない
 
すでに40年近く
俳句を作ってきた
立つ鷺の吹き戻さるる大刈田
初心の頃の作品も
まるで昨日のことのようだ
 
僕らは
俳句を現在形で書く
俳句の時制はいつだって
現在形なのだ
古池や蛙飛びこむ水の音
 
芭蕉がこの句を作ったのは
貞享三年と物の本にある
今から300年以上も前のことだ
古池はもはや古びることなく
聞こえてくる水音
 
僕らは時間を
記憶することはできないけれど
永遠を今ここに取り込むことができる
俳句-――
今ここにある永遠
 
2024.7.30
 
 

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