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【詩の森】真っ当な社会なら

真っ当な社会なら
 
真っ当な社会なら
子どもより先に
老いた親から死んでいくのが
当り前だろう
ところがこの国では
親に虐待されて
子どもが死に
苛められて
児童生徒が死に
働かされ過ぎて
若者が死んでいく
 
真っ当な社会なら
誰もが生きられるように
手を差し伸べるのが
当り前だろう
ところがこの国では
社会保障費は削られ
生活保護を受けられずに
母子が心中し
古い団地の片隅で
一人暮らしの老人が餓死し
台風で避難所にやってきた
ホームレスは
住所がないという理由で
断られる
 
真っ当な社会なら
真っ当な人が
リーダーを勤めているはずだ
真っ当じゃないのは
リーダーが
真っ当じゃないからだ
単純なことである―――
真っ当なリーダーを
選べないのは
僕らが真っ当じゃないからだ
選挙に行って
政治を監視しないからだ
投票率が半分なんて
どう考えても
尋常じゃない
 
政府が
率先して作った法律を
並べてみればいい
大事なのはタイトルではなく中身だ
特定秘密保護法
共謀罪法
平和安全法制
これらは
国民に知らせず
真っ当な人々を排除し
戦争も辞さないという
法律なのだ
日本国憲法下で
こんな法律を通すなど
本来なら
あり得ないことなのだ
 
そして
国民を少しずつ洗脳していく
その証拠に
敵づくりがもう
始まっているではないか
国民は国のために死ぬものだと
吹聴しだしているではないか
子どもたちに
愛国教育を始めているではないか
戦争になったら
親は子どもを守れない
親より先に子どもたちが死んでいく
社会は一気に
アベコベになるのだ
どこもかしこも
憎しみと悲しみだらけに
なるのだ
 
元に戻すには
僕らが真っ当になることだ
手遅れに
ならないうちに―――
このまま
ボーッと生きていたら
そのうち命までとられると
いい加減気づいても
良さそうなものだろう
水や食料だって
危ないというのに―――
 

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