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【詩の森】原子力という隠れ蓑

原子力という隠れ蓑
 
英語のnuclear weaponは
核兵器のことだ
それなら
nuclear power plantは
核発電所かと思いきや
そうはならない
原子力発電所のことだ
原発安全神話づくりは
まずこの名称から
始った―――
 
核発電所といえば
強面のイメージだが
原子力発電所となると
どこか
洗練された印象さえ受けるのは
何故だろう
そういえば
双葉町に掲げられていた
あの有名な看板は
『原子力明るい未来のエネルギー』
だった
 
しかしいくら
言葉を使い分けたとしても
核兵器も原発も
核分裂反応を利用することに
変わりはない
それを制御するかしないかの
違いだけだ
福島では
その制御ができずに大惨事になった
あの事故では
広島原爆の168.5倍もの
セシウム137が
放出されたという
 
何のことはない
その原因が
地震であれ津波であれ
制御に失敗すれば
『ゲンパツ』は『ゲンバク』に
なり兼ねないのだ
世界には今
500基以上の原発があるという
多くは
地震の少ない場所を選んで
建てられている
そのうちの一割が
この地震大国日本にあるのだ
考えてみれば
これ程クレージーなことはないだろう
先の見えない事故処理や
永遠に続く廃棄物管理に
この先いったいどれ程の税金が
投入されることだろう
 
日本初の原発の着工は
第五福竜丸事件から6年後の
1960年のことだ
茨城県東海村の
東海原子力発電所である
当時放射性降下物は
『死の灰』と呼ばれ恐れられていた
人々は核実験や
『核』という言葉にさえ
拒否反応を起こしていたという
だから核発電所など
もっての他だったろう
そこで
1955年年から2年間
原子力平和利用博覧会が
全国各地で開催され
述べ260万人もの動員が図られたのだ
人々から
核アレルギーを
スポイルするために―――
 
原発だけではない
自衛隊は
英語では
the Self-Defense Forces of Japan
というそうだ
ところで力という意味の
英語のforceに定冠詞をつけ
さらに複数形にして
the forcesとすると
軍隊の意味になる
自衛隊は紛れもなく軍隊なのだが
どういう訳が
政府はそれを
実力組織などと
言い換えて見せるのだ
 
こんな
言葉のトリックに騙されていたら
僕らはどこへ連れていかれるか
知れたものではない
ある人がいった
「自衛隊は憲法違反である。
子どもたちに憲法9条や前文を
読ませればわかるであろう」
と―――
僕は見ず知らずの一市民の言葉に
激しく同意する
言葉遊びは止めよう!

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