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【詩の森】二つの積極的平和

二つの積極的平和
 
平和学の創始者
ヨハン・ガルトゥング博士は
積極的平和を唱えられた
博士のいう積極的平和とは
ただ戦争がなければいい
というものではない
むしろ
貧国や抑圧や差別などの
構造的暴力が排除され
暴力の芽が予め
摘み取られた状態のことだ
個人対個人の暴力が喧嘩なら
国対国の大喧嘩が戦争だろう
平和学は机上の学問ではない
博士は紛争調停人としての
経験を土台にそれを
打ち立てたのである
 
ところが
この国のやってきたことは
どうだろう
1986年例外的に
僅か13職種で始った派遣法は
1999年には原則全面解禁された
企業にとっては
ありがたい話だろう
何故なら
一人の正社員を雇う金で
二人の非正規社員を
雇えるのだから―――
しかし
労働者にとっては
搾取以外の何物でもないだろう
それだけではない
消費税もそんなまやかしの一つだ
実は消費税という名前も
消費者者負担というのも
まっかな嘘で
実態は企業の付加価値税なのだ
消費税法には
消費者ということばは
一切でてこない
僕らは一杯食わされたのだ!
 
この付加価値税によって
100万社以上の中小企業が
倒産したといわれている
更にあくどいことに
この消費税こそが
非正規雇用拡大の
隠れたエンジンだったのだ
付加価値税とは
利益と人件費に掛る税金だ
利益がでなければ人件費を
抑制するしかないのである
いきおい
経営者は非正規に頼らざるを
得ないだろう
派遣法も消費税も
貧国・格差拡大政策なのである
 
実は日本政府は
折に触れて積極的平和主義を
喧伝している
もし
ガルトゥング博士の定義通りの
積極的平和なら
日本政府にその資格はないだろう
なぜなら
彼らは悉く
積極的平和とは真逆の政策と
とり続けているのだから―――
しかし
日本政府は
軍備を拡大し
戦争も辞さないことこそ
積極的平和主義だと
強弁して憚らないのである
 
ことばを弄ぶ国は
やがてそのことばによって
滅びるだろう
何故なら
人と人がつながる信頼の源は
ことばだからだ
あの孔子さんも
いっているではないか
名を正さんか
と―――
ことばを信じ
互いを信じあうことこそ
人間の営みではないだろうか
こどもを傷つけ
お年寄りに詐欺をはたらく社会に
どうして信頼の絆など
生まれようか
ことばを正しく使うことから
僕らは
出直さなければいけない
その手本を真っ先に示すべきは
政治家では
ないだろうか

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