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【詩の森】ウォッチング

ウォッチング
 
鳥好きの人は
よく空を見上げる
空から降ってくる鳥の声を
いつも気にしている
だから
バード・ウォッチングという
僕はそれほどでもないが
好きな人は
鳥を追って
海外まで出かけていく
 
好きだから
よく見るようになるのか
よく見ているうちに
好きになるのか
おそらく
その両方なのだろう
イルカ・ウォッチング
クジラ・ウォッチング
マン・ウォッチング
人によって好きなものは
さまざまだ
見ることはきっと
慈しむことなのだ
 
ふだんから
たくさんの物に囲まれて
ただ一瞥するだけの暮らしを
僕らはずっと続けている
僕も現役の頃は
妻がそこにいると認識するだけで
せいいっぱいだったから
とてもすまないことをした
ただただ
忙しくて―――
 
いきなりでなんだけど
定年になって
少しひまができたら
俳句を始めたらいいよ
やはり俳句モードってあると思うんだ
仕事に追われていたら
実際俳句なんてできやしない
しかし今なら
心がここにいて
小さな季節の変化についていける
ネイチャー・ウォッチング
そう俳句は
回りを見つめることなんだ
 
人生なんて
何をいちばん見つめてきたかで
決まるんじゃないかな
たくさん見つめたものが
いつしか
心の風景になっている
君が好んでみつめたもの
鳥や花や絵や
空や海や山や
好きな人と一緒に過ごした
そんな時間が集まって
今の君になったんじゃないかな
自然を見つめてごらんよ
俳句なんかできなくても
ちっともかまわない
毎日がもっともっと
ワクワクするよ
今ここにいるだけで―――
 

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