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ラブライブ×ファッション誌『PLUME』

それは同人誌と言うにはあまりにも様子がおかしかった。
参加人数の多さ、ページ数、質感、そしてクオリティが高すぎる。
それはまさに「雑誌」だった。

 みなさんはこのイカれたコンセプトの同人誌「PLUME」をご存じだろうか。ほんとに同人誌かどうか疑わしい書物である。
 ファッション雑誌を同人誌としてガチで作り込んだらどうなるというのをやっている作品で、ありがたいことに今回私もお声がけを頂き、写真提供にて参加させて頂いている。イラスト、文章、コスプレ、写真、おおよそ同人誌として表現できる手段を全部盛り、参加人数が100名、50企画100ページ、ホントにすごいとしか言えない。

如何にこだわりを持って作り込んでいるのかというのはスペースを是非聴いていただきたい、制作スタッフみんなネジが飛んでます。

さて、そんなオーバークオリティのファッション雑誌「PLUME」の感想です。テーマは、

『PLUME』はただの雑誌じゃない、セレクト雑誌だ


 今、この世界には情報が多すぎる。数百年前と人間は大きく進化していないのに人が処理できる限界を越えた情報が飛び交っていて、YouTube、TikTok、Instagram、X、等々はその多すぎる情報を機械学習によって整理して「おすすめ動画」「おすすめ投稿」などのパーソナライズされたものをサジェストしてくる訳です。
 インフルエンサーがもてはやされるのも、情報がありすぎるからこっちは人力で整理してその人なりの体験を添えて「おすすめアイテム」を教えてくれるからありがたがって再生するわけですね。
 さらに近年はAIが出てきて、誰でもハイクオリティの者が生み出せる世界でどうやって「価値のあるコンテンツ」を作るのかというのがあちこちで討論されている、変化の渦中にあるのが現在という認識でいます。

 そんな世界で、「本当に価値のあるもの」を「審美眼」が持つ人が「セレクトをする」というのは本当に重要な役割を果たすことになるんじゃ無いかと思っています。
 セレクトと言えば、伝説のセレクトショップ「リステア(RESTIR)」を経営していた高下浩明さんがWeb上でセレクトを行う「246 SELECT」というものがあります。これがどういうものなのかはリンクしてある動画をご覧頂きたい。とにかくセレクトが抜群に良いということがわかるはず。

 なぜこの「246 SELECT」を取り上げたかと言いますと、この取り扱っているブランドの価値を下げないようにという物作りの姿勢が同じだとおもったんですよね。「セレクト」の重要性です。

 「PLUME」は、ハイブランドからユニクロ等のファストファッションまでのあらゆるのアイテムが「セレクト」されているし、そのアイテムをラブライブ!のキャラクターが着ているわけです。
 普通に作ったら、ハイブランドのデザインがいいからキャラに着せているだけ、になるんです。普通の人がハイブランドの歴史や文脈までしっかり知ってる方が希なので。
 PLUME編集部がすごいのは、その「ブランドの歴史や文脈」をしっかり踏まえながら、スクールアイドルという高校生に着せたときにブランドの世界観が損なわれないようなデザインを突き詰めているんですよね。

 さらに、この雑誌は総勢100名もクリエイターが関わる大規模合同誌で、その全員が今回のファッション雑誌に必要だと「セレクト」された人たちです。
 もちろん、参加者の中にはお洋服に詳しい人が居たりしますが、私をはじめとしてそこまで詳しく知らないという人も多く参加しています。ただ、参加者全員がクリエイターでそれぞれの作品というブランドをもっているわけです。
 本気でファッション雑誌を再現するために必要な企画、構想があり、それをファッションブランド、ラブライブ!の世界観を損ねないで表現できる人を100人も「セレクト」出来ているだけでなく、そのクリエイターの世界観も損ねないままに一つにまとまっているんです。
 これは尋常なことじゃないですよ、誌面で紹介するアイテムがいくら良いものでも、クリエイターのセレクトが間違っているとすべて意味が無くなってしまいますし、その逆も言えます。とにかく「セレクト」の審美眼が素晴らしいんです。

 「リステア(RESTIR)」を経営していた高下浩明さんのようなプロが作っていれば「審美眼が素晴らしい」でこの話は終わりなんです。でもこの同人誌を作っているのはアマチュア(一部本職が混ざっていますが)なんですよ。
 まさしく、
・「不完全でも熱を持った僕たちが作る芸術」であり
・「スクールアイドル」
だと思いませんか?
 同人誌を作ること自体が相当なエネルギーが必要ですが、この「ラブライブ×ファッション誌『PLUME』」を手に取ったときの質感と熱量は身が震えました。どう見ても雑誌、どこから見ても雑誌なんです。

 そんな雑誌が取り扱っているのはお洋服だけじゃなくてクリエイターも含めて「セレクト」している。つまり、ファッション雑誌に加えてクリエイターのセレクトショップならぬ「クリエイターセレクト雑誌」でもあると思うんです。
246 SELECTがお洋服に止まらずに車や旅行にも広がろうとしているのと同じ概念での解釈が出来ると思ったんですね。

まだこの記事をみて実物を手にしていない方が居れば「2024年3月31日(日)僕らのラブライブ!41」にも出店されるようなのでぜひお手にとっては如何でしょうか。なかなかというか、まずこんな本が出回ることがないでしょうからお見逃し無く。

こういうあまりに熱量がある作品に触れると、自分はじゃあ写真雑誌で何かテーマ決めて、写真という形で本にするのも面白いかもしれないとか。
せっかく写真展のノウハウがあるのでイラストと写真を展示と合わせてなんか表現するのも面白そうだなぁ……。

──といったところで終わりたいと思います。それでは。

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