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ダブルワークをすると社会保険は?

ダブルワークで働いた場合、社会保険はどうなるのでしょうか?
 
前回は雇用保険について、Zさんの例を用いて説明しました。
 
おさらいですが、Zさんは、A社にて非正規雇用で週40時間勤務していました。ところが、労働時間が減っていき、B社で副業をするという設定です。
 

📔社会保険は二重加入できる?
もしも、A社、B社共に、労働時間的に社会保険加入の要件を満たした場合、Zさんの社会保険はどうなるでしょうか?

①両方で加入しなければならない
②雇用保険と同様、どちらか一方でしか加入できない
③両方で加入できない

前回の復習ですが、雇用保険は、両社で加入要件を満たしても、一方でしか加入できませんでした。
しかし、社会保険は要件を満たすと、両社で加入になってしまいます。
 
そうなると、保険証は? 保険料は?
疑問が出てきます。
保険証については、1枚だけです。
どちらを主たる事業所とするのか、本人が届を提出する必要がありますが、そのメインの事業所の保険証が発行されます。
 
保険料はどうなるのでしょうか?
両方の会社で加入となるため、両方の給与額をベースに合算された分がかかります。ただ、給与からは、それぞれの会社から按分された金額が控除されます。

雇用保険料と比べると、社会保険料は安くありません。両方の会社で控除されるとなると、ちょっと痛いところでもあります。

ということで、正解は①でした。
 

📔週30時間以上の勤務であれば社会保険加入
では、社会保険加入の要件というのは、どんなものなのでしょうか?
これがまた複雑になってきています。
 
Zさんの所定労働時間が以下であるとします。

A社:週30時間
B社:週10時間

社会保険の加入はどうなるでしょうか?
①両方で加入できる
②A社でのみ加入できる
 
社会保険の加入条件は、従来、正社員の4分の3以上の労働時間というものでした。たいていの正社員は週40時間のため、正社員以外でも所定30時間以上で加入になってきます。
ところが、現在、週30時間まで働かなくても、週20時間以上で社会保険加入になってくることがあります。いわゆる、社会保険の適用拡大です。
いずれにしてもこの場合、B社では20時間にも足りていないため、加入が難しいです。
正解は②です。
 

📔週20時間勤務でも社会保険に加入?
では、Zさんの所定時間が次の場合をみてみます。

A社:週20時間
B社:週20時間

社会保険の加入はどうなるでしょうか?
 
①両方の会社で加入になるかもしれない
②どちらか一方でのみ加入になるかもしれない
③両方の会社で加入できないかもしれない
 
自信なさげな選択肢ばかりです。
この場合、他の条件も関わってくるため、正解は1つに絞れません。
先ほど述べたように、週20時間以上で社会保険加入になってくることがあります。しかし、週20時間以上になれば、一律加入というわけではありません。他の要件もあります。それは、
①会社規模的に社会保険に入っている人が101人以上
(令和6年10月からは「51人以上」に引き下げ)
②本人の給与月額88,000円以上
などです(他にも雇用の見込みが2ヵ月超である等)。
所定労働時間だけでは一概に言えません。
 

📔税金は?
給与から引かれるのは、雇用保険料や社会保険料だけではありません。
税金もあります。簡単に触れておきます。
Zさんにとって、本業=A社、副業=B社とすると……。

所得税は、本業でも副業でも控除されます。基本的に副業では高く引かれます。
年末調整も本業のA社でのみ行われます。B社の分は確定申告でという感じです。

住民税は、2か所の給与から引かれることはありません。副業のB社の所得も合算したうえで計算された金額が、本業のA社でまとめて控除されるイメージです。 

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