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ECITON / The Autocatalytic Process 【音楽レビュー】

  1. Repeal and Replace

  2. Desperate Human

  3. Idealized Scum

  4. Commercial Replay

  5. Peeled Off Intelligence

  6. The Autocatalytic Process

  7. Incarceration of Madness

  8. Fanatical

  9. Troglobites

  10. Inhumanity Rules


 デンマーク産デスメタル、2022年リリースの4thアルバム。

 2004年から活動してるようだが聴くのはこのアルバムが初めて。バンド名の正しい読み方ははっきり分からない(エシトン、エジトン、イーサイトン?)が、意味は「グンタイアリ属」のようで、そのまんま過ぎるジャケが非常にインパクトがある…。このジャケのせいでスルーしそうになったのは事実だけれども、スルーしなかったのは正解だった!
 ヨーロピアンスタイルのオールドスクール寄りのデスメタルで、いわゆる「メロデス」ではないけど、メロディアスなフレーズが自然に溶け込んでいる。
しかしあくまでもリフ重視!あくまでも獰猛に!という姿勢が感じられ、硬派な印象である。
まさに軍隊アリの一糸乱れぬ行進のごとく楽器隊のリズムシンクロ率が高いのが特徴的で、シンクロによる音の塊は重量感を伴って非常に迫力がある!

 メンバーはJesper von Holck(Vo.)、Kristian Lund Jespersen(Gt.)、Thomas Berg(Gt.)、Gustav Solberg(Ba.)、Jesper Frost(Ds.)の5人。
ドラムのJesperは、INIQUITYやTHORIUMといった有名バンドにかつて在籍していた人物。そう言えばTHORIUMも、このECITONと同系統のデスメタルだったような記憶がある。


1.Repeal and Replace
「これから始まるよ~」って感じで期待感を高めてくる最初の1分ちょっとは、アルバム全体のイントロのような雰囲気。ライヴでも1曲目にやりそう。ドスの効いたグロウルがめちゃくちゃかっこ良い。特に2:30くらいからの地を這うような、湿り気を帯びた感じが最高!

2.Desperate Humans
重戦車のようなヘヴィさの中、所々で入ってくるピロピロ系のギタープレイが映える。そして次々に繰り出されるリフがどれもこれもフックが効いていて、ベテランの凄みを感じる。

3.Idealized Scum
#6のインストを除けば今作中最もメロディアスな曲で、リフのカッコ良さからしてもキラーチューンと呼んで差し支えないであろう。最初のゆったりとした哀愁メロからメインのリフに移行してブラストで疾走する流れがたまらん!ブラックダリアマーダーみたいな高音スクリームとグロウルの使い分けもメリハリがあって良い!

4.Commercial Replay
不穏な感じのリフからブレイクを挟んで流麗なギタープレイを入れてくるなど、約1分のイントロからして、展開にこだわるこのバンドらしさが表れている!Vo.が入ってからも軍隊っぽいグルーヴを基調にしながら展開を鮮やかに切り替えていくのがとても気持ち良い。

5.Peeled Off Intelligence
スネア+ギターでの「ダカダカダッ、ダカダッ、ダカダッ、ダカダカダッ!!」で隊列を整えてからの、スピード感あるスタスタで突っ走る冒頭から拳を振り回したくなる!喚き型のヴォーカル割合が多いのも曲調に合っている。

 6.The Autocatalytic Process
アルバムタイトルトラックは、メロディアスなフレーズが散りばめられた約2分半のインスト曲。中でも、0:30頃と1:42頃に登場する古き良きメロデス/メロブラ風のリフがたまらない。そしてラストは感涙必至…!

 7.Incarceration of Madness
#6ラストの余韻を断ち切るデス/スラッシュ系のヘヴィなリフと、クローズドハイハットのカウント、このガラリと雰囲気が切り替わる瞬間が最高。#6は#7の壮大なイントロだったのか…?!これは続けて聴くべき2曲。

 8.Fanatical
Jesperの絶品グロウルに震え、高音スクリームとのコンビネーションに痺れる!本当に良いヴォーカルですな。
メロディを聴かせるイントロ・アウトロでヘヴィな展開部を挟む構成で、全体としてドラマティックな仕上がりとなっている!

9.Troglobites
冒頭からECITONらしさ全開の軍隊シンクロ。そして要所でのストップアンドゴーというか細かいブレイクによって攻撃力が増していく感じが非常に爽快!スクリームのキレっぷりも◎。

10.Inhumanity Rules
金がかかってなさそうな、演奏シーンのみで構成されたシンプルなMVはいかにもベテランのデスメタルバンドらしくて良き!音だけで聴くよりも荒々しさや勢いが感じられる。
特にドラマーのJesperは、トリガーありきで異次元の超高速プレイをやる今時のドラマーとは異なり、あくまで人間的な速さの範疇で一打一打しっかり重さを乗せて叩き込むようなスタイルで、これがECITONというバンドのストロング&ヘヴィなサウンドの基盤になっていることは間違いないであろう!



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