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やさぐれオンナノコの日々―助けてくれたイエス様―

はい。皆様こんにちは。miriamです。前の回で小学生時代の私のエピソードをお話したのですが、えーいついでだとばかり、今回も小学生の時のエピソードを書いてみたいと思います。半グレだった(?)過去の私の罪を、今回はご紹介いたしましょう。そして、その罪から救ってくださった人のことも・・・。

むかぁしむかし、私はすでに生きるのに疲れ切っておりました。小学生だというのに、まだ生まれてきて10年そこそこだというのに、疲れ切っていたのです。習いたくもない習い事をさせられていたからです。祝日も日曜日もありませんでした。とにかく毎日のように、学校から帰ってくるとすぐ、ユニフォームが入った大きなカバンと定期券を持って、隣の県まで片道1時間半ほどかけて、行かなければならなかったのです。

未熟児で生まれてきた私は、幼いころから体が弱く、何かといってはおなかを壊したり熱を出したりしておりました。両親はそんな私を心配して、とにかく体を丈夫にしないとだめだということで、スポーツをさせよう、と思いついたのです。探し当てたスポーツクラブで、できれば全身を使うスポーツ・・・水泳などさせようと思ったのですが、その頃水泳教室には空きがなく、併設されている体操教室に入れることにしたのでした。

当時まだ4歳だった私は、わけも分からず週に3日くらい、近くの(とは言っても電車でしか通えないのですが)スポーツクラブの中の体操教室で汗を流しておりました。横倒しにした車のタイヤの上でぽんぽんジャンプしたり、うんていを上ったり下りたり・・・誰が一番うんていの上り下りが早いかを競うタイムトライアルもありました。ほかに跳び箱、マット運動、平均台、鉄棒・・・。トランポリンもやりました。その時の私は、知らなかったのです。この後、自分にどんな運命が降りかかるのか。

きっかけは、厳しいことで有名だったあるコーチの両親への一言でした。「ミリアムちゃん、いいですね!素質がありますよ。どうです、『選手クラス』に、入れてみませんか?」・・・それを聞いた両親の・・・ことに、父親の・・・喜ぶまいことか。父は涙を流して喜び、私を抱きしめるとこう言いました。「ミリアム、よかったなぁ。先生、素質があるってさ。頑張るんだぞ、明日はお前もスターだ!!」

「すたぁ・・・???」私の頭の中は文字通りの「?」でいっぱいでしたが、とにかくその、『選手クラス』に移って練習を続けることになりました。それまでと変わったことが2つあります。まずユニフォーム・・・普通の体操服だったのが、レオタードになりました。(・・・これこれそこの男子、鼻の下を伸ばさないようにね。)それから、練習が毎日になったことです。学校が終わって帰ってきて少しすると出かけなければならなかったため、ほとんど友達と遊べなくなりました。楽しみにしていたレジャーやイベントにも、行けなくなりました。ただひたすら、家と学校と体操クラブの往復の毎日が、始まったのです。

「私はこんなに友達と遊べないのに、あの子たちはなぜ友達と遊べるの?」それが、その当時私が抱いていた最大の疑問でした。楽しそうに笑いながら友達とふざけあっているあの子だって、習い事はしているはずなのに。どうして友達と遊ぶ余裕があるんだろう。不思議でなりませんでした。

それに、「なぜ私だけ、どこにも遊びに行っちゃいけないの?」これも、疑問でした。友達に遊びに誘われても、母に「アンタには体操があるでしょ」決まってこう言われるため、断らざるを得なかったのです。友達は次第に私を遊びに誘わなくなりました。ひとりぽっちになった私が流した涙の数を、両親は知っているでしょうか。

「ああ、遊びたい!遊びたい!遊びたい!」私は心の中でいつも叫んでいました。小学生の子供が遊びたがって、何が悪いのでしょう。どうしてそんなに、本人がしたくない習い事が生活の中心になってしまうのでしょう。それに、体操クラブでも選手クラスになると、「いじめ」がありました。先輩ができない技を後輩ができるようになったら、もうその時からその後輩は先輩だけでなく仲間たち全員から口をきいてもらえなくなります。先輩が巧妙に裏から手をまわして、そのようにさせるのでした。タオルを隠されたり、マットや平均台が置いてある倉庫に閉じ込められたり・・・は日常茶飯、練習場所が変更になったときも教えてもらえず館内をうろうろさせられる。・・・私はそんな人間関係もイヤでイヤでしょうがありませんでした。

辞めさせてほしい、と何度両親に頼んだことでしょう。そのたびに、父も母も「ダメだ!!」ときつく言うのでした。父などは、私ができない平均台の技を家で練習させるために平均台を自作して、練習から帰ってきた私に家でも練習をさせる始末。楽しみにしていた宇宙戦艦ヤマトのイベントも、いつ連れて行ってもらえるのかと楽しみにしていたのにその気配が全然ないので、連れていってほしい、というと「お前には体操があるだろう。お前からそれを取ったら一体何が残るんだ」そう言われました。

その時、私の心の中で何かが壊れたのをはっきり覚えています。今考えると人格を全否定されたと思ったのでした。「体操をしていない私はいちゃいけないの?・・・この人たちは私のためなんかじゃない、自分たちのために娘に体操をさせたいんだ。見栄を張りたいから・・・将来有名な選手になって国際的な大会に出てメダルを取らせて、『これもみんな今まで支えてくれた両親のおかげです』・・・そう言わせたいから、こんなに熱心になってるんだ!!」

部屋に戻って長い間大声で泣きました。そして決めました。「もう2度と体操クラブになんか行かない!!」

それからの私は、本当に体操クラブに行かなくなりました。体操クラブに行くと言って家を出るのですが、電車を途中下車して体操クラブに「今日は休む」と電話をかけます。ずいぶんいろんな理由を考えました、小学生なりに(笑)。やれ熱が出た、おなかが痛い、学校の球技大会の練習のため、ケガをした・・・エトセトラ、エトセトラ。そうしないと、体操クラブと家との距離が遠いので、心配したコーチから「今日はミリアムちゃん、来てませんが・・・」と家に連絡が入る、そうしたら私がサボっているのがバレる、からです。それから体操クラブが入っているビルの中のショッピングセンターに行って時間をつぶし、(この辺小学生の浅知恵。もっとほかのところに行けばいいのに)練習が終わってみんながビルから出てくる前に駅に戻って帰りの電車に乗り、(そうしないと仲間に見つかってサボっていたのがバレてしまう)家の最寄り駅に戻るといつも練習から帰る時間まで時間をつぶして、時間通りに迎えに来てくれた父のもとへ行く・・・そんな毎日を送っていました。

ココロがすさんでしまった私は、そのうちとんでもないことをやらかします。ショッピングセンターの中にサンリオの商品の売り場がありました。今もそうですが当時も、サンリオの商品は女の子のあこがれ。持っているとみんなからうらやましがられるのです。でも、サンリオのグッズはどれも小学生から見るとちょーっとお高め。(そんなことないですか?学生の皆さん)小学生のお小遣いでは、なかなか買えるものではありませんでした。でも、いいなー。いいなー。欲しいなー。

どうしても欲しかったものが、私の目の前で揺れていました。キティちゃんのキーホルダー。欲しい・・・でも、今持っているお金では足りない。どうしよう。欲しい。どうしても欲しい。次に来たらもうないかもしれないんだもの。

私はちらり、と会計コーナーを見ました。そこには2人の店員さんがいて、楽しそうにおしゃべりしています。お客さんはいません。人目のない今、こんな小さいものなら、もしかしたら・・・。私はキティちゃんのキーホルダーを一つ手に取り、ポトン・・・と落としたのです。ファスナーを開けておいた、カバンの中に・・・。

ドキドキドキドキ・・・・心臓の鼓動が、頭の中までこだましました。そそくさとその場を離れます。追いかけてくる人はいませんでした。やった!!悪いことだとは思うけど、これくらいいいよね。だって、こんなにつらい思い、してるんだもの・・・。

見つからなかったことに味をしめてしまった私は、それからどんどん大胆になっていきました。練習をサボってサンリオコーナーへ行っては、欲しいものをいただく・・・お金を払わずに。もちろん、ちゃんとお金を出して買う時もありました。怪しまれたら困る、からです。

そんな、ある日のこと。いつものようにサンリオコーナーへ行って、いただくものを品定めしていた私の肩を、トントンと叩く人がいました。ふりむくと、そこには背の高い外人のおじさんが立っていました。今でもよく覚えている、茶色の髪、青い目。・・・でも、その目はなんだかとても賢くて優しい、そんな感じがしました。

おじさんは私を手招きすると、私の目の高さに目線を合わせて、そっと前を指さしました。すると、見えたのです。ワゴンの陰に隠れてこちらを見ている・・・それはショッピングセンターの警備員でした。

私はビクン!!と体を震わせました。同時に、いろんなことが頭に浮かんできます。捕まったら・・・父や母にどんなに叱られることだろう。体操クラブにもきっと知らせが行くだろう、同じビルの中にあるんだから。クラブのみんなにいじめられるかもしれない、それどころか学校にも知られるかも・・・ただでさえ少ない友達も、みんな離れていくに違いない・・・。こんな悪いことをしていたことを知って、仲良くしてくれる人なんて・・・いないに違いない・・・。

はっ、と気づいたときにはおじさんの姿はもうありませんでした。背が高いからそのあたりにいたらきっと目立つと思うのに、いないのです。・・・それどころではない!警備員に捕まらないうちに逃げないと!!私は急いでその場を立ち去りました。

そのあと、父や母とすったもんだの末、私はやっと体操クラブを辞めることができました。今思えば末恐ろしいガキです(苦笑)。小学生のくせにあんなことやるなんて、ねえ。

そして、私はあの幼くバカだった時と同じように、オバサンになった今でもあの時の外人のおじさんはイエス様だったのだ、と固く信じています。空の上から浅はかなふるまいを繰り返す私の姿を見て、やれやれと苦笑しながら、いっちょ行ってバカなことをやめさせなければと、外人のおじさんの姿を取って現れてくださったのだと信じてやみません。

もちろん、あれ以来、お店からお金を払わずに商品を持ち去ることなど、決して!!やっておりません!!イエス様にわざわざ来ていただいたんですから!!

ここまでお付き合いいただいた方、どうもありがとうございました。今回はこれで・・・。もしもご縁がありましたら、次のお話でまた、お目にかかりましょう。最後に一言!よい子はオバサンの真似なんてしちゃいけませんよ~!!



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