Amazonの購入履歴から思い出す、2019年に買った本(読んだ本ではない)

月日は経ち、また新しい一年が始まった。今回に限っては、2020年とかいうあらゆる近未来物小説における「未来」がやって来たのでなおさら恐ろしい。

本棚をふと見てみると去年の元旦以上に惨憺たる散らかり方だった。ろくに読みもできずに新しい本ばかり増えていき、たまに思い出して取り出してはまた積むを繰り返した結果、ジャンルも購入日時もばらばらだ。

Amazonの購入履歴を見直して読んだ/読んでないを記載していけば少なくとも自分の中で整理がつくのではないかと思いついたので試しに列挙してみた所、今年は予想以上に本を買っていなかったことに気づいた。なお漫画と仕事の本は記載していない。

・西洋料理の黄金比(読んでない)
材料の分量の比さえ間違えなければレシピはいらない、という趣旨の本。当時は比較的自炊をしっかりしていたので買ったが、少なくとも今年は生かすタイミングがなかった。

・世界の辺境とハードボイルド室町時代(読んでない)
現代ソマリアと室町時代の日本を比較すると文化体系とか人の動きが似ていて面白い、という趣旨の対談本。
こんな面白そうな本を俺はなぜ読んでないのだろうか。

・ルトワックの“クーデター入門"(読んでない)
タイトル通り過去の事例から「クーデターの起こし方」を学ぶという体でクーデターについて知る本。
クーデターへの興味が薄れたので読みたくなったら読む。

・WORLD WAR Z(読んだ)
死者が蘇る奇病が蔓延して崩壊しつつあった世界の人々の「戦後インタビュー」を主人公がまとめ上げた報告書。という体で進むオムニバス短編。巻き込まれた一市民から政策協議者、医療者、もちろん軍人。
要はゾンビ物。このワードとレッテルだけで食指が動かないのは無理がないとは思うけど、2019年に買った本で、時間を置いて3回端から端まで読み返した小説はこいつだけだったと思う。
・天駆せよ法勝寺-Sogen SF Short Story Prize Edition- (読んだ)
盟友が「受賞作全部99円で買えるんよ!!!」と進めてくれたKindleフェアの中の一冊。仏教とスペースオペラにここまで親和性があるとは。萩尾望都の仏陀と阿修羅とプラトンとキリストがビーム撃ち合って戦う長編SFを思い出す。あれの原作は誰だったっけか。
・最後にして最初のアイドル (読んだ)
これも国産のSFだ。事故死したアイドル志望の親友を、主人公がアイドルとしてプロデュースしていく表題作が良い。2ちゃんねるで某アイドルアニメのキャラクターの二次創作として公開する予定だったらしいというのも凄まじい。インターネットには魔が潜む。
SF的想像力(パワー)ってどこで養うんだろうなあ。学校の授業にもう少し聞く耳を傾けていたら理系の知識が身についていたのだろうか。軌道エレベーターを形成する素材とか、物体が空を飛ぶのに求められる構造とか。
・反対尋問 (途中まで)
何百年前かのイギリス人弁護士が記した反対尋問に関する解説書。分厚い文庫。法廷の小技から大技まで判例を挙げて解説されている。途中で過去の素晴らしい法曹への賛辞が混ざったりする。
「話の持って行き方」はどんな職種でも求められる大事なテクニックだ。パターン化は困難と思うが少しでも何らかの実例を頭に染み込ませておくと役に立つのかもしれない。
・憑依の精神病理―現代における憑依の臨床(途中まで)
ツキモノを精神疾患として扱う。キーワードは祈祷性精神病。国内だと森田療法の森田正馬氏が80年-100年前に症例報告を行っていたらしいが、文献はなかなか見つかっていないとのこと。
・三体(読んだ)
個人的2019年ベスト。文革で科学者が処刑されるシーンから始まる中国のSFですよ。スパイ小説とSFは爛熟して余裕のある文化からしか産まれないって開高健か誰かが言っていた気がするが、この重いテーマから軽やかに導入しつつ、VRゲーム内の仮想現実。有名な数学の命題。謎解き。陰謀論。世界があなたのために瞬く。話が徐々に陰謀めいた方向へシフト。きっちり張られた伏線から虫けらの如き...如き。ここで第一部が終わり、本作が全三部であることを初めて知る。2と3はもちろん未翻訳である。つらい。ノー知識で「星を継ぐもの」を読んだ時の興奮が一番近い。もういいから早く読んでくれ。
・サカナとヤクザ ~暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う~(途中まで)
古典から現代ヤクザまでの密漁戦術についてインタビューして回ったらしい。モーターボートにエンジン複数個積んで巡回船を振り切るのが最早何も恐れてない感じがあって強そうだと思った。後は、単純に最高の漁場があるのに拿捕されるから行けない北方領土の話とか。
・紙の動物園 (読んだ)
「三体」を読んだ後に中国SFをもう少し読みたいと思い購入した。国籍でジャンルを区分するのは最早意味がなさそうだ。「結縄」好き。
・宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃 (読んだ)
望月博士が発表した論文を多くの数学者が理解出来ていないという現状。ひとまず一般向けに分かりやすい用語を用いて宇宙際タイヒミュラー論の概略の概略を紹介した本らしい。確かベストセラーになってた。後半で頭が爆発したので、後2回くらいは読んだほうがよさそうだ。

・なめらかな世界と、その敵(読んでない)

国産SFらしいが前情報は一切ない。楽しみ。


・魔王 奸智と暴力のサイバー犯罪帝国を築いた男(読んだ)
アメリカのオンライン薬局の総元締めは1人の南アフリカ人のプログラマーだったんだよ。彼はtruecryptの根幹技術にも関わっていた。そのうちソマリアでマグロ漁もやった。北朝鮮から覚醒剤を流すルートも手に入れた。武器を持った部下は山ほどいる。これはどうやらフィクションではないようだ。

・現代地政学 国際関係地図

「冷戦期」とか、「中東情勢」とかのテーマに沿って世界地図を色塗りしてくれている。腰を据えて読むよりは、トイレ本としての運用が望ましいか(トイレ本:自宅トイレに常設する本。面白すぎたり長すぎると一生トイレから出られなくなるため、短編集の類か実用本が無難)


・1週間だけ猛練習! ギター・スケール運用法 (ギター・マガジン)
はい、1日も練習しませんでした。
・息吹
2019年最後にとんでもない核弾頭を掴んでしまった。久し振りに本に呪縛をかけられた。フィーリングの合うSF短編集を最適な体調で開いてしまうと、私はバスチアンになれる。

以上。あまり買ってなかった。取りあえずこないだ出た、みずほ銀行のシステム統合の新書が面白そうなのでまずはそれを読む。

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