マガジンのカバー画像

徒然に読書メモ

165
本の感想に主眼を置いた投稿をまとめています、何らかのきっかけになれば、望外の喜びです。
運営しているクリエイター

#読書感想文

いろいろ悩みましたが、、【 #愛読書で自己紹介 】

 新年に入りふと思い立ち、少し前から note を始めているのですが、読書系の記事を辿っているうち、面白そうな企画「#愛読書で自己紹介」を拝見したので便乗させていただこうかな、と。 正直、3人・3冊に絞り込むのはどうにも悩ましかったのですが、、今回はこちらの3作品にしてみました。 『桜宵』(北森鴻)  三軒茶屋の路地裏に静かにたたずむ「香菜里屋」というバーを舞台とした連作短編集です。中でも特に印象に残っているのが「桜宵」の一編、「御衣黄」と呼ばれる、その名が示すように「

【読書メモ】『マネー・ボール』(著:マイケル・ルイス / 訳:中山宥)

まさか移籍1年目から世界一とは、、期待はしていたものの予想までは出来ず、ただひたすらに凄いなぁ、というか、フィクションでもここまでの”物語”はなかなかに描けないでしょう、シーズン開幕前の事件も含めて。 にもかからず、なんのかんのと今シーズンは「打率.310、130打点、54本塁打、59盗塁」で本塁打と打点の二冠王を獲得、特に「54本塁打-59盗塁」との金字塔を打ち立てたのは周知のとおりで、これだけでも十二分にドラマになりそうです。 そしてポストシーズン、数字だけで見ると、

【読書メモ】『惑星をつぐ者』(著:戸田尚伸)

『三体』、話題になっていたのは店頭などで見かけていて知っていたのですが、なにせ表現の自由がない政体下でのSF小説なこともあり、さして食指も動かなかったのですが、こんな記事が出てくると図書館で予約してみようかな位には考えてもみたく、、そんな中で久々に思い出したのが『惑星をつぐ者』との一冊。 もう30年近く前にジャンプで連載されていたマンガで、確か全9話。いわゆる"打ち切られた漫画"なのですが、そんな事を感じさせないくらいに物語として成り立っています、個人的には非常に好み。

【読書メモ】『All You Need Is Kill』(著:小畑健/竹内良輔/安倍吉俊/桜坂洋)

少し前、何とはなしにアマプラを回遊していて出会った一編、舞台は京都・貴船、穏やかな時間の流れる旅館街にて。2分間がひたすらにループするとの物語、と言っても、記憶、経験はそのまま引き継がれていき、時間と登場人物たちの初期位置だけがひたすらに繰り返されていきます。 そして、その中で描かれる群像劇と、解決するために奔走していくとの流れの中で次第に明らかになる「祈り」とループのきっかけとは、、なんてコメディではありますが、意外と面白くて最後まで見てしまいました。 こういう構成のル

【読書メモ】『マスカレード・ホテル』(著:東野圭吾)

USJもいろいろとやるよなぁ、、「マスカレード・シリーズ」は前日端的な外伝もあわせてシリーズは4冊まで出ているとのことですが、個人的には第1作目の『マスカレード・ホテル』が一番印象に残っています(映画版もよい出来だった覚えがあります)。 舞台は都内のとある一流ホテル「コルテシア東京」、そこに刑事が潜入捜査に来るところから物語が始まります。 その捜査の目的は公開されていない“連続殺人事件”。主人公は一組のコンビ、妙齢の男と女。その一人は若き刑事・新田浩介、一人は優秀なフロン

【読書メモ】『日常を袋詰めにして、海に捨てた罪』(著:間武)

選挙は非日常(ハレ)なイベントとはいえ、悪い意味での非日常を押し付けてこないでいただきたいところ、、テロリズムなんて悪辣で醜悪、そして不可逆的で一方通行な非日常でしかないのだから、なんて、『日常を袋詰めにして、海に捨てた罪』を思い出しながら。 これは“詩”、なのでしょうか、 表紙も題名も耽美系な感じです。 一篇が三行、ただひたすらにそれが続きます。 どこかに置き忘れた、“記憶”、 それを掘り起こしても、くれそうな。 なんとなくルバイヤートを思い出します。 つらつらと

【読書メモ】『パノラマ島綺譚』(著:江戸川乱歩 / 丸尾末広)

江戸川乱歩さん、生まれは三重、育ちは名古屋といった感じだったんですね。池袋が終の棲家とは聞いた覚えがありましたが、意外なところで実家の名前を耳にしました。 江戸川さんというと「少年探偵団」のシリーズが思い出されますが、今回思い出したのは、江戸川乱歩×丸尾末広とのコラボによる『パノラマ島綺譚』、なんともレトロで退廃的な雰囲気の一冊になります。 主人公は、うだつの上がらない小説家・人見広介、そんな彼が、学生時代の友人とすり替わるところから物語が始まります。 といっても、すり

【読書メモ】『黄色い目の魚』(著:佐藤多佳子)

不思議と博物館や美術館を訪れるのは好きで、たまにふらっと出かけたくなります。つい先日はじまった「モネ 睡蓮のとき」も近いうちに訪問する予定で楽しみにしていたりします(家内はつきあってくれません)。 かといって自分に絵心があると思った事はありませんが、、それでも何かを表現したくてたまらなくなったことはあります、囚われることなく。そんな周囲の時間がもっと緩やかに流れていた時代があったことなぁ、なんて『黄色い目の魚』を思い出しながら。 主人公は二人の高校生。二人の線が交わるきっ

【読書メモ】『それから』(著:夏目漱石)

今の職場が新宿との事もあってか、たまにこちらについての質問をされていかれる方がいます。また館内にはちょうど今やっている「《特別展》『三四郎』の正体 夏目漱石と小宮豊隆」のポスターを張ってもいたり。 私自身、初めて漱石に触れたのは確か高校の教科書での『こころ』、なかなかに考えさせられる内容で、今でも印象に残っています。漱石さんの文体との相性も良かったのか、新潮文庫版でそれなりの著作を揃えていたりも(そういや息子が高校生の時に課題図書になったと『こころ』を引っ張り出していました

【読書メモ】『魂の在処』(著:中山雅史 / 時見宗和)

少し前になりますか、イタリアのスキラッチ選手が亡くなったとのニュースがありました。まだ59歳との若さ、ガンだったとの事ですが、寂しくなるなぁ、なんて思いながら、ジュビロ磐田でもプレイされてたよな、そういや、なんて『魂の在処』との一冊を思い出しながら。 確か献本でいただいた一冊、“ゴン中山”の愛称で親しまれた中山雅史さんの言葉を集めた内容、といった所でしょうか。私の世代(アラフィフ)ですと“カズ”とともに、彼らの全盛期とJリーグ草莽期を重ねてみる人も多いのではないでしょうか。

【読書メモ】『秘密』(著:東野圭吾)

いわゆる「異世界転生」モノがジャンル問わずに流行っているようで、小説やアニメなどをちらほらと見かけます。主人公も老若男女を問わずに様々にあるようですが、共通しているのは前世の鬱屈を晴らす、といった要素なのでしょうか。なんとなく(若い頃によくある)現世への失望感の裏返しかなぁ、、なんて思いながら、最近ではあまりしっかりと手に取った作品はありません。 私の場合、古くは(大分毛色の違う)『魔界転生』辺りを思い浮かべたりもするのですが、そういや家内と一緒にハマっていた『デルフィニア

【読書メモ】『ポルトガルの海(増補版)』(著:フェルナンド・ペソア / 訳:池上ミネ夫)

39歳でも最前線、、NBAのレブロン(40歳)もですが、トップアスリートは凄いなぁ、とか、でも、ポルトガルってあまり馴染みないよなぁ、大航海時代のイメージくらいかぁ、なんて考えながら思い出したのが『ポルトガルの海(増補版)』との一冊。 普段はあまり手にとることがない「詩集」とのジャンルになります、蔵書としても数冊あるかどうかといったところ。これは文章に対しての多少のとっつきにくさを感じても、ストーリーが好みであれば気にしない小説とは異なり、文体から感性から何もかもが真っ直ぐ

【読書メモ】『怪人二十面相』(著:江戸川乱歩)

コナン君と江戸川乱歩と聞くと思い浮かぶのはやはり、『怪人二十面相』となります、少年探偵団シリーズ。初めて読んだのは小学生のころ、地元の図書館で片っ端から読んだ覚えがあります、、の割には話自体はそんなに覚えていないのですが(汗 でも、変幻自在の変装の名人・怪人二十面相、それに相対する名探偵・明智小五郎と、小林少年&少年探偵団。この両者のめまぐるしい攻防戦には胸を躍らせていました、七つ道具とかにも憧れてましたねぇ。 個人的にはこのシリーズで深く刻まれた“怪盗”という存在が、ル

【読書メモ】『男の作法』(著:池波正太郎)

ここ最近なにかと話題の石破内閣のドレスコード?、「X(旧:Twitter)」のTLなどでもちらほら見かけます。日頃、政治には欠片も興味がない家内も話題に出してきたくらいですから相当に酷かったのかなぁ、、と、ちょっと心配になってしまいました。 麻生さん辺りからきちんと教わってくればよいのに、、なんて言うにはお恥ずかしいくらいに、私自身は普段から服にはあまりこだわりもなく、ファッションセンスにも自信はありません。普段着もここ十年位はさしたる変化も無く着まわしているような(家内や