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【やさしい】凍結融解胚移植には自然周期移植とホルモン補充周期移植がある【不妊症ガイド】

たなかゆうすけです。

凍結融解胚移植には、自然周期移植とホルモン補充周期移植の二つがあります。今回はこの二つについてお話します。


自然周期移植

自然周期は、移植環境が自然に整うのを待つ方法です。卵胞が発育すると、エストロゲンの分泌量が上昇し、内膜が分厚くなっていきます。卵胞が十分発育して排卵が起こると、卵子が格納されていた卵胞は黄体へ変化し、プロゲステロンの分泌を開始します。これにより子宮内膜は脱落膜化を起こし、胚が着床できるようになります。

本来は、排卵した卵子が受精、細胞分裂を経て胚盤胞となり、卵管内を輸送され子宮内へ到達した後に、子宮内膜へ着床をします。自然周期移植では、適切な時期に凍結していた胚を常温へ戻して子宮内へ入れ、この本来着床する胚の変わりに着床してもらいます。胚が着床できる時期は決まっていると言われており、この時期は着床ウィンドウ期(implantation window)とか着床の窓とか呼ばれます。これはだいたい排卵から5日後~9日後と言われています。この時に、透明帯(胚の周囲にある『殻』)から脱出した胚が接着して、着床が起こります。

自然周期では、まず卵胞の発育をエコーで確認します。十分に発育してきて卵胞径が17mm前後になった辺りから採血で排卵日の推定を行います。排卵日はLHとPのバランスで推定しますが、hCG製剤の投与を行って排卵日のコントロールを行うこともあります。

排卵日が確定すれば、4細胞くらいのDay.2 初期胚であれば排卵から2日後に、8細胞くらいのDay.3 初期胚であれば排卵から3日後に、胚盤胞であれば排卵から5日後に子宮内へ戻すのが標準です。

排卵日を妊娠2週0日と考え、妊娠4週(胚盤胞なら移植から10日後くらい)にhCGの分泌が確認できれば、妊娠の成立ということになります。


ホルモン補充周期移植

自然周期移植でのホルモンの動態、すなわち卵胞発育に伴うエストロゲン分泌と、排卵後のプロゲステロン分泌を人工的に再現するだけでも、内膜はしっかり胚が着床できる能力を獲得します。

ホルモン補充周期では、エストロゲン製剤を使用して卵胞の発育に伴うエストロゲンの供給を再現します。ある程度待機して内膜が十分発育したことが確認できれば、プロゲステロン製剤を開始します。ホルモン補充周期では、基本的に排卵は起こりませんが、プロゲステロン製剤を開始した日が排卵日と同等となり、そこを基準に胚移植を行います。4細胞くらいのDay.2 初期胚であれば排卵から2日後に、8細胞くらいのDay.3 初期胚であれば排卵から3日後に、胚盤胞であれば排卵から5日後に子宮内へ戻すのは、自然周期と同じです。

ホルモン補充周期ではプロゲステロン開始日を妊娠2週0日と考えます。こちらの場合も、妊娠4週(胚盤胞なら移植から10日後くらい)にhCGの分泌が確認できれば、妊娠の成立ということになります。


自然周期移植とホルモン補充周期移植のどちらを選択する?

では、自然周期移植とホルモン補充周期移植のどちらを選択しましょうか。この二つには明確なメリットとデメリットがあります。次回はこれらの比較を行っていきます。



妊娠を希望される皆様が、幸せな結末へたどり着けますように…

たなかゆうすけでした。

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