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【やさしい】思い当たるフシはありますか?男性編【不妊症ガイド】

たなかゆうすけです。

不妊症のやさしいガイダンスです。


前回のお話はこちら。

前回は女性編でした。
今日は男性編です。


こちらも併せてどうぞ。


思い当たるフシは?男性編

では、さっそくですが実際に例を挙げていきましょう。

これからお話するようなことに、思い当たるところはありますか?

・精巣の手術をしたことがある。
・鼠径ヘルニアの手術を受けたことがある。
・子どものころ、睾丸が上のほうにあった。
・大人になってからおたふくかぜになったことがある。
・過去に抗がん剤や放射線治療を受けたことがある。
・過去に別のパートナーがあり、その間に子どもができなかった。
・勃起しない、勃起が最後まで続かない。
・膣内射精まで到達しない、最後までできない。
・そもそも性交渉が持てない。

いかがでしょうか?
何か当てはまるものがありますか?

これらに該当する方は、以下の不妊になりうる原因があるかもしれません。
つまり、

・精子を作る機能の異常があり、数が少なかったり、運動性が低下していたりする。
・精子の通り道に異常があり、外に出てこれない。
・性交渉を最後まで行うことができない。

ということです。


精子を作る機能の異常

精子を作る機能は、様々な原因で起こることがあります。

・精巣の手術をしたことがある
・昔、睾丸が上のほうにあった。
・過去に抗がん剤や放射線治療を受けたことがある。
・過去に別のパートナーがあり、その間に子どもができなかった。

これらは、精子を作る機能に異常があることを示唆します。


精巣捻転

精巣捻転という病気があります。
精巣は精索という構造物とつながっていますが、ここを軸に『ぐりん』と何かの拍子に捻じれてしまうことがあります。
早めに手術が行われなかった場合には、精巣の機能が失われてしまうことがあります。
強い腹痛を主な症状としますが、そういった強い腹痛の後に精巣、睾丸の手術を行ったことのある方は、少し注意したほうが良いかもしれません。


停留精巣

子どものころ、といっても2歳前後とかなり小さなときですが、精巣の手術を行うことがあります。
生まれたときには通常睾丸は陰嚢内に降りていますが、まれに陰嚢内に降りていないことがあります。
この場合、おなかのなかに睾丸が残っていることがあります。
この状態でしばらく放っておかれていると、精子を作る機能が低下していまっていることがあります。

そもそもなぜ睾丸が体の外にあるかというと、精子を作る機能にとって、温度上昇は大きな障害となるからです。
温度が上昇しないように、放熱しやすいように、体の外に置かれています。
急所なのに体の外に丸出しになっている理由はこれです。

ずっと睾丸が体のなかにあると、温度上昇の影響を受け続けてしまいます。この結果、精子を作る機能が低下することがあります。
通常生後しばらくは自然に下降してくることが多いのですが、1年もするとほとんど自然下降はしなくなります。
通常2歳までには精巣を固定する手術を行います。

こういった手術を受けたことのある方で、なかなか妊娠に至らない場合は、少し注意をしても良いかもしれません。


悪性腫瘍の治療後

がんなどの悪性腫瘍の治療で、抗がん剤治療や放射線治療を行うことがあります。

卵子や精子などの生殖細胞は、抗がん剤や放射線の影響を受けやすく、治療によって大きなダメージを受けて数を減らしてしまっていることがあります。

もしこういった治療歴のある方は、現状を把握しておいてもよいかもしれません。

また、これから治療を行う方は、精子を凍結して保存しておくことでお子さんを得られる可能性を残しておくこともできます。

もともとの病気の主治医の先生ともしっかり相談をしてください。


過去に別のパートナーがあり、その間に子どもができなかった。

これも精子を作る機能を疑うエピソードの一つです。

過去のパートナーとのことは、なかなかセンシティブな話題で聞きにくいことかもしれませんが、それとなく聞いてみても良いかもしれません。


精子の通り道の異常

・鼠径ヘルニアの手術を受けたことがある。
・大人になってからおたふくかぜになったことがある。
こういった方は、精子の通り道に異常がある可能性があります。

精子は、精巣で作られ、精巣上体と呼ばれる袋にプールされ、そこから伸びる精管と呼ばれる管を通って外へ出ていきます。

手術をしたことがある場合や、感染を起こした場合は、強い炎症反応や癒着が起こることがあります。
傷が治るときには必ず起こる反応ではありますが、精子の通り道の近くの手術や感染の結果、精子の通り道が塞がってしまうことがあります。

代表的なものとして、幼少期のヘルニアの手術であったり、成人発症のおたふくかぜ(ムンプス)による精巣上体炎などがあります。

こういった、精子の通り道の近くの手術や感染にこころあたりがあれば、医療機関で相談してもよいかもしれません。


性交渉の問題

・勃起しない、勃起が最後まで続かない。
・膣内射精まで到達しない、最後までできない。
・そもそも性交渉が持てない。
この場合ももちろん妊娠しない原因となります。

もともとの性機能の問題もありますが、心理的な要因も多いです。
人工授精などの治療介入で対応できますので、ご相談ください。

男性は、なかなか自分が原因と認めたくなかったり、治療に対して否定的になったりすることが見受けられます。
私も男性なので、そういったことはあるだろうなあ、と思います。

お二人の関係性がありますので、あまり深くは介入できないところではありますが、ご夫婦の問題ととらえていただくのが良いと思います。

お互いに思うところはあると思いますし、治療による負担の比重も違うため、なかなか難しいところもありますが、どちらか片方だけの問題というわけではありません。

ご相談いただければ、お手伝いできるかもしれません。


次回予告

さーて、来週の〇〇〇さんは~?
日曜日だけではなく、毎日お送りします。

次回は、いつ不妊症の検査をするのか?です。

こちらも併せてどうぞ。

妊娠を希望される皆様が、幸せな結末へたどり着けますように…

たなかゆうすけでした。

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