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【やさしい】妊娠と血液型【初心者ガイド】

たなかゆうすけです。

今日は、妊娠と血液型のお話です。

みなさんの血液型は何ですか?
僕はB型です。
血液型を聞かれて『B型』ですと答えると、みんな『あー、わかる』みたいな顔をします。
そんなに『B型』か?と思います。

なので、僕は血液型占いはあまり信じていません。

…たぶん信じたくないんでしょう。


血液型はABO型だけではない!


さて、いわゆる血液型と言えば、血液型占いでよく話題に上がる、A型、B型、AB型、O型ですね。
これはABO型と言われる血液型です。

これ以外にも、割と有名なところで、Rh型というものがあります。
ちなみに、Rh型の由来はアカゲザルというサルで、アカゲザルを英語表記するとRhesus monkeyとなりますので、その頭をとってRhです。

そのほか、MNS型やLewis型など、希少な型もいくつかあります。


そもそも血液型って?


血液型は、赤血球の表面にある抗原の種類で決まっています。
赤血球は血液中の成分で、酸素を運搬する仕事をしています。
赤血球はヘモグロビンという色素を含み、これによって血液は赤く見えます。


抗原と抗体


体に異物が入ってきたときに、免疫反応が起こります。
その一つに、抗原抗体反応というものがあります。
この抗原抗体反応のターゲットとなる物質が『抗原』で、抗原を狙って攻撃する物質が『抗体』です。
抗原に抗体がくっついて、一緒になって沈んでいくのが抗原抗体反応です。
抗原が赤血球表面に存在するのに対し、抗体は血清中に存在します。

ABO型の場合は、『A抗原』と『B抗原』があり、これに作用する抗体として、『A抗体』と『B抗体』があります。

抗原と抗体が同時に存在すると、抗原抗体反応を起こしてしまいますので、A抗原を持っている方はA抗体を持っていませんし、B抗原を持っている方はB抗体を持っていません。

A型の方は、『A抗原』と『B抗体』を持ち、『A抗体』を持ちません。
B型の方は、『B抗原』と『A抗体』を持ち、『B抗体』を持ちません。
AB型の方は、『A抗原』と『B抗原』を持ち、『A抗体』も『B抗体』も持ちません。
O型の方は、『A抗原』も『B抗原』も持っておらず、『A抗体』と『B抗体』を両方持っています。

なんだかややこしいですね。


違う血液型を輸血してはいけない理由


抗原と抗体が出会うと、抗原抗体反応が起こります。
赤血球の表面抗原と抗体が反応すると、赤血球が破壊されてしまいます。
このため、異なる血液型を輸血してはいけないことになっています。

ただし、O型の赤血球のみを輸血する場合は、抗原を持っていないため輸血が可能です。
こういった輸血は緊急時に限られます。


不規則抗体


抗体には、生まれながらに持っている自然抗体と、体の外から異物が入った来たときに新しく作る免疫抗体があります。

新しく作る免疫抗体の話をしましょう。
たとえば、Rh型の中のD抗原を例にとります。
Rh(D)抗原を持たない方(いわゆるRhマイナス)に、Rh(D)抗原を持っている人の赤血球を輸血したとします。
もともとRhマイナスの人はRh(D)抗原に対する抗体(抗Rh(D)抗体と言います)を持っていないので、一回目の輸血ではとくに抗原抗体反応は起こりません。
ですがこの時、侵入してきたRh(D)抗原を持った赤血球を、体はしっかり認識します。
次に再度、Rh(D)抗原を持った赤血球が侵入してきたときに備えて、抗Rh(D)抗体が作られてしまいます。
そして本当にRh(D)抗原を持った赤血球が侵入してきたときには、抗原抗体反応が起こってしまいます。

このように、赤血球表面抗原に対して新しく作られる免疫抗体のことを、不規則抗体と呼びます。

血液型を調べる場合に、いっしょに不規則抗体の有無を調べることがあります。


妊娠中に反応が起こるとどうなる?


さて、妊娠中のお話をしましょう。

妊娠中にも、赤ちゃんの赤血球表面抗原とお母さんの抗体の間で、抗原抗体反応が起こることがあります。

これにより赤ちゃんの赤血球が破壊されてしまうと、強い貧血が起こります。
貧血になると、からだに酸素を運ぶためにより多くの血液を送り出さなければならないため、心臓がより多くの仕事をしなければならなくなります。
いずれ心臓はその仕事量に耐え切れなくなり、心不全を起こします。
そうすると、送り出せなくなった血液が体にたまり、赤ちゃんのからだがむくんでしまいます。
これを胎児水腫とよびます。

また、赤血球が破壊されて放出されたビリルビンが脳へ蓄積して、神経細胞を障害することがあります。
これをビリルビン脳症(核黄疸)と呼び、さまざまな後遺症を残します。

このように、赤ちゃんの赤血球表面抗原とお母さんの抗体の間で抗原抗体反応が起こると、重篤な症状を引き起こすことがあります。


Rhマイナスの方はご用心!


お母さんと赤ちゃんのRh型が異なる場合、強い抗原抗体反応が起こります。
上で述べたような症状は、特にお母さんと赤ちゃんのRh型が異なる場合に起こります。

日本のRhマイナスの方の割合は、約200人に一人です。


お母さんと赤ちゃんのRh型が異なる場合はどんなとき?


お母さんがRh(D)抗原を持たず(Rhマイナス)、お父さんがRh(D)抗原を持っている(Rhプラス)場合、赤ちゃんはRhプラスとなり、Rh(D)抗原を持っています。

これがお母さんと赤ちゃんのRh型が異なる場合です。それ以外のパターンでは、お母さんと赤ちゃんのRh型は同じになります。


いつ問題になる?


実は、1回目の妊娠では問題は起こりません。
2回目以降の妊娠で問題が起こることがあります。

問題となる場合は、不規則抗体の項でお話した通りのことが、お母さんと赤ちゃんの間で起こります。

出産のときや、ある程度週数が進んだ流産のときに、赤ちゃんの血液がお母さんのからだに入ってしまいます。
この時に、お母さんのからだは、Rh(D)抗原をもつ赤血球を認識してしまい、抗Rh(D)抗体が作られてしまいます。
そして次の妊娠のときに、この抗Rh(D)抗体は胎盤を経由して赤ちゃんのからだに入ります。
そこで強い抗原抗体反応が起こってしまいます。


どのように対応すればよい?


いったん抗Rh(D)抗体が作られてしまうと、からだからなくしてしまうことは難しくなります。

そもそも、抗Rh(D)抗体を作らせないことが重要です。
そのためには、お母さんのからだに赤ちゃんの赤血球を認識させないことが必要になります。

お母さんのからだに入った赤ちゃんの赤血球を、認識される前にすべて破壊してしまいます。
抗D免疫グロブリンという物質を注射すれば、赤ちゃんの赤血球を速やかに破壊してくれます。

現在は、妊娠の28週前後と、分娩後72時間以内の抗D免疫グロブリン投与が推奨されています。

また、妊娠7週以降まで児生存が確認できた自然流産後、妊娠7週以降の人工流産・異所性妊娠後、腹部打撲後、羊水穿刺、胎位外回転術等の検査・処置後にも、抗D免疫グロブリンの投与が推奨されています。

こういった処置の必要性をあらかじめ知っておくためにも、お二人の血液型を知ることは重要となります。

Rhマイナスの方の妊娠がわかった場合には、早めに医療機関でご相談ください。


今日はこれでおしまいです。
おなかの赤ちゃんのためにも、お二人の血液型をしっかり把握しておいてください。

妊娠を希望される皆様が、幸せな結末へたどり着けますように…

たなかゆうすけでした。

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