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【小噺】【内膜症】チョコレートは甘くない【初心者ガイド】

たなかゆうすけです。

今日は、子宮内膜症の話です。

内膜症は、月経痛を強くしたり、骨盤の痛みの原因になったり、ある日気づいたら癌になっていたり、不妊の原因になったり、いろいろとすごくメイワクなやつです。

内膜症は卵巣に袋状の病変を作ることがあり、これをチョコレート嚢腫と呼ぶこともあります。

チョコレートと言われるとオシャレでスイートな雰囲気ですが、こいつはそんなに甘いものではありません。


・まいごの内膜症くん

本来の子宮内膜から見知らぬ場所に出てきてしまった、まいごの子宮内膜組織が内膜症くんです。

内膜症くんは見知らぬ土地で、心細くて仕方がありません。
こぼれ落ちる涙がキラリ。
ちいかわみたいに泣き出してしまいました。

わァ…………あ……

泣いちゃった!

見かねた周りの人たちが、内膜症くんに声をかけます。
内膜症くんの周りには、腸くんや卵巣さん、卵管さん、子宮さんたちが集まってきていました。

どうしました、お話でも聞きましょうか。

親切心から声をかけました。

その瞬間に、内膜症くんの目がギラリと妖しく光りました。

内膜症くんが目にも止まらぬ素早い動きを見せたかと思うと、いつの間に背後に回り込まれ、背中にがっちり乗られているではありませんか。
ものすごい力でしがみついて離れません。
しかも、なんだかどんどん重くなってきてぜんぜん身動きが取れなくなってきました

いぬのおまわりさんが声をかけたのは、まいごのこねこちゃんなどではありませんでした。
これではまるで、子泣きじじいです。

そうこうしている間に、声をかけた全員が、背中に乗られて動けなくなってしまいました。
内膜症くん恐るべしです。

束縛系としてはかなり強いほうではないでしょうか。


・仕事の邪魔をされる卵管さん

がっちり内膜症くんに捕まった卵管さん。

卵管さんのお仕事は、卵子ちゃんを運んだり、精子くんを通したり、受精卵ちゃんを運んだりすることです。

かなり重要なお仕事を任されていましたが、それがぜんぜんできなくなってしまいました。

これは大変困ったことです。
これではスムーズに妊娠ができません。

卵管さんはくやしそうです。


・かわいそうな卵巣さん

中でも卵巣さんは不運でした。

背中に乗られたまま、卵子ちゃんと一緒に住む、家の中にまで入られてしまいました。

こうなると、もう内膜症くんは止まりません。
どんどん家の中で自分のスペースを拡大していきます。

卵巣さんは家から出て行ってほしくって仕方ありません。
眠れぬ夜を何度過ごしたことでしょう。

何度も何度も話したけれど出て行ってくれないので、ついには専門の業者を呼びました。

内膜症くんがあまりにも出ていかないものですから、専門の業者も困ってしまいました。
仕方がないので、内膜症くんのいるスペースごと、家を一部切り取って出て行ってもらいました。
切り取られた家には、少しの卵子ちゃんも住んでいましたが、こればっかりは仕方ありません。

かわいそうな卵巣さんにも、これで落ち着いた日常が戻ってきました。
毎日ぐっすり眠れるようになり、あの辛かった日々を思い出すことも少なくなりました。
そんなときもあったねと、やっと言えるようになりました。

そんなある日、冷たい風の吹く夜でした。
ふと気づくと、なんと内膜症くんがまた家のなかにいるではありませんか。

またどんどん家の中で自分のスペースを拡大していきます。

かわいそうな卵巣さんは、また業者を呼びました。
もう一度家を切り取って出て行ってもらいましたが、今度は前より多くの卵子ちゃんが一緒に出て行ってしまいました。

こんなことを繰り返していたら、どんどん卵子ちゃんが出て行ってしまいます。

卵巣さんは、ポロリと涙をこぼしました。


・周囲を巻き込むトラブルメーカー

こんなふうに、内膜症くんはかなり質の悪いヤツです。

内膜症は、
・周囲の組織を巻き込み、癒着する
・卵管を巻き込んだ場合は、卵管の可動制限を起こし、不妊の原因となる
・卵巣に袋状の病変を作り、手術が必要になる場合がある
・卵巣の病変は再発することがある
・卵巣の病変を手術するたびに、卵子が減る可能性がある
という性質を持っています。

内膜症の状態によっては、妊娠の計画に支障をきたすことがあります。

妊娠を希望される方で、
・過去に内膜症を指摘されたことがある方
・月経痛が強い方
・骨盤の痛みが強い方
は、早めに医療機関で相談してもよいかもしれません。


今回はこの辺りでおしまいです。

妊娠を希望される皆様が、幸せな結末へたどり着けますように…

たなかゆうすけでした。

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