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パラレルワールド

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2021年10月の記事一覧

ガチャガチャ・タイムトラベルラブストーリー

ガチャガチャ・タイムトラベルラブストーリー

《プロローグ オブ ガチャガチャ》
部屋の整理をしていると、何かが転がり出てきた。
拾い上げると、それはぼろぼろに色の剥げたカニ爪のガチャガチャだった。

私は思い出した。キラキラした金平糖みたいな、あの日々のこと。



私は中学生のころ、学生カバンや携帯電話にガチャガチャのストラップをぶら下げるのが好きだった。
統一性は無くバラバラで、友人からはよく「なにこれー!」とイジられていた。
構って

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「国道0号線」

東京の真ん中で、水槽を見つめていた

クラゲが漂っている。

インクを水の中に落としたみたいな、ポップでカラフルな水槽の中で、
水の流れに揺らめいている。流されているだけにも見えなくはない。
別に、深い意味なんてないのだけど。

その後、スカイツリーのてっぺんまで登って光の箱庭のような世界を見下ろした。

どこにでもあるような日常。ありふれた生活。



夜景を見つめながら、隣に立っていた誰かが

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おもいつくまにまに

かかとにのせた
小指は音を逆さに
おとといのおやつを覚えているこども
おとしものは届かない
ゆるい闇
身軽な酔っ払いは南へ
昔のおにあいの靴ひもは?
今朝聴いたオルゴール
グロッケンシュピールは子守唄を
声は砂糖ととろとろに
笑う老人
お向かいの犬はとても陽気で
私は物語を身に着ける
まだまだ未完成
めまい ぐるぐる
少女はゆっくり息をする
幸運の小包みつけてみせよう

黎明

黎明

ディズニーランドでもなく、水族館でもラブホテルでもなく、僕たちが選んだのは廃工場だった。
宵闇の中燻る煙と、ほの明るい光。
「あなたといると、いつも寂しい気持ちになるの。一緒にいるし、充分に抱きしめてもらっているのに、自分がどこか遠くにいる気になるの。腕の中にいながら、暗闇の中足がもつれてもうどこにも行けない気になるの」
彼女が呟いた。
「それは僕のことが好きではないと言うこと?」
「そう

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