追悼 小田嶋隆先生

  • noteは塩畑記者のコラムを読みたくて登録したものでまさか自分自身で文章を書くなんで想像もしていなかった。
    でも、しかし。
    小田嶋隆先生の逝去を知り、コラムニストでありとても尊敬する先生になにかしたいと考えた結果、
    生まれて初めて他人に公開する形で文章を書いてみようと思い立った。
    まあ、仰々しくあるが特に誰も読まないし、気楽に書こう。
    初めての出会いは中学生の頃。「我が心はICにあらず」を読んだ。
    もう、とにかく腹を抱えて笑ったのを覚えている。
    勝手に「一太郎変換芸」と呼んでいるがワープロの一文を文字変換してとんでもない一文を創造する芸があった。

  • 「一太郎変換芸」がどんなものかは実際に「我が心はICにあらず」を読んでみて欲しい。すくなくとも私は「我が心はICにあらず」から続く「安全太郎の夜」「仏の顔もサンドバック」にもちょいちょい顔を出していた変換芸が好きすぎて、なにかのラジオ番組が主催した小田嶋先生と誰だか忘れたけど偉い人のトークセッションを金を払って見に行った。目的は確認すること。「先生。かつて初期の著作でやっていた例の一太郎変換のやつ。あれはほんとにそうやって変換されたんですか?それとも先生の創作ですか。」聞けなかった。当時はまたいつかお会いできると思っていたので今度でいいやと思ってしまったのが悔やまれる。

  • あと、小田嶋先生のホームページも秀逸だった。トップ画面がイグアナだったと記憶している。当時はゲームブックというものが流行っていた。短い文章にそれぞれ番号がついていて最後に選択肢がある。「君が戦う場合は8の文章へ。逃げる場合は16の文章へ。」といった具合だ。そんなゲームブックを模した文章が掲載されていた。なんとなくハードボイルド小説っぽくて選択肢によっては永遠に文章の間をループする仕組みになっていた。これも味わい深く面白かった。

  • 最近は日経ビジネスの連載が楽しみだった。先生の著作は多分、すべて読んでいると思う。ただし、直近の小説はまだ読んでいない。しばらく経ったら購入しようと思っている。親友の岡康道に小説の執筆を強く勧められていたから書いてみたのかもしれない。真相は謎だ。

  • 思えば小田嶋先生は私の思想、人生に大きな影響を与えている。物事を正面からしか見るのではなく、多面的に捉える視点(主に斜めではあるが)、底が見えない深い知性、弱者に対する慈愛、権威や常識に対するフラットな視点(私は特に小田嶋先生が左派とは思っていない。ただ、性格として偉そうにしている奴や実際に偉い奴、自分が偉いと思っている奴がいるとどうしても揶揄いたくなるだけなのだろう。)これらの先生の特徴に憧れた。もし、中学生の時に小田嶋先生の著作に出会っていなかったら今の自分は大分違ったものとなっていただろう。

  • コラムニストの小田嶋隆先生は逝去した。でも、その著作は恐らく今後も読まれると思う。私がそうであるように私以外にも大きく影響を受ける人がいる。書物は時代を超えるのでほぼ永遠に小田嶋先生は人類に影響を与え続けるのであろう。うらやましい。

  • 最後に先生。あの世に行っても恐らくお酒は飲まないのでしょうから紅茶か何かを献杯させていただきます。本当にありがとうございました。

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