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ナンプラーのかほり#7 バンコクとバンコク以外

どうもバンナー星人です。

かのローランド氏の名言に「ホストには2種類いる。俺か俺以外だ」というものがありますが、実はこの名言が生まれるずっと前から、「タイは大きく2つに分かれる。バンコクかバンコク以外だ」としばしば評されてきました。バンコクとそれ以外の地方、そこにはローランド氏とそれ以外のホストどころではない隔たりが存在しているのです。

そんなことを言ったら、日本だって「東京と東京以外」と言えるんじゃないかとおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、残念ながらそうではありません。なぜなら、日本には「東京以外の大都市」の存在があるからです。確かに東京と比べれば規模は劣るものの、大阪、横浜、名古屋、福岡、札幌も基本的に大都市であることには変わりないでしょう。

一方タイはどうなのか。この手の話でよく引き合いに出されるのが北の町チェンマイです。「タイの第二の都市」と呼ばれることもあり、人口データ的にはそうなのでしょうが、この「風情あふれる古都」を「大都市」と呼ぶにはやはり抵抗があるわけです。第二の都市ですらこれなのですから、他の地方都市は言わずもがな。

一方、バンコクはといえば、緩い建築基準だからこそ可能な、壮麗なデザインのホテルやコンドミニアム、デパートなどが街を埋め尽くし、その摩天楼群の中を、これまた日本ではなかなか目にする機会のない高級車が走り回り、「お金さえ払えば極上の体験ができまっせー」てな世界が展開されているわけです。もちろん街の中にはスラムなども存在し、富と貧困の差は非情なまでに激しいものがありますが、それもまた「大都市の大都市たる所以」とも言えるでしょう。

「タイ好き」を自称する日本人の方にも、「とにかくバンコクが大好き」という「バンコクの人」と、「タイの田舎は好きだけどバンコクはちょっと」という「バンコク以外の人」がいらっしゃるわけですが、私はと言いますと、圧倒的に前者なのであります。

先日、パートナー君の実家新築披露会(=パートナー君のお父さんが故郷に錦を飾る会)が行われるというので、タイ東北部(イサーン)に位置するローイエット県に行く機会がありました。


ツイッターでも現地の状況をお届けしたとおり、家族の一員にならないとできないような経験をさせてもらい、村落住民たちの幸せのあり方というのを垣間見ることができました。

彼の村落というのは、ヤシの木が生える村の中を牛が闊歩し、昔ながらの高床式住居から子供達の嬌声が聞こえてくる、まさに「ノスタルジック」という言葉がぴったりとくるそんな場所です。都会の忙しさに疲れた人にとっては憩いの場所とも言えるでしょう。ただ、私は笑顔を振りまきながらもこんなことを考えてもいたのでした。

「早くバンコクへ帰りたい」

その思いは「単調な日々を粛々と繰り返す中で心の安寧を得られている方々」への敬意と、「それがどうしてもできない煩悩にまみれた自分」の恥ずかしさ、その2つの感情が絡まりあって湧いてでてきたものなんだと思います。

55歳という年齢を迎えても、いまだなお人生に対してジェットコースター感を求めてしまう私にとって、煩悩の塊のような「魔都市」バンコクは、自分が「未熟」な人間であることを意識せずに過ごせる安住の地なのかもしれません。

これから自分がもっと歳をとっていけば、徐々にバンコクに住むエネルギーを失っていくのか、それはまだわかりません。もしかすると私はずっと「バンコクの人」なのかもしれない、PM2.5で霞む空を見上げながら、そんなことを思ったりもするのでした。

ではまた次のお話でお会いしましょう。


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